これから始める「つけペン」入門 「ペン先」編

ペン習字の専門誌『ペンの光』を購読してからまもなく2年が経ちます。

購読と同時に「つけペン」を使い始め、その扱いに未だ苦慮しつつも、使い勝手の要領はそれなりに掴めました。

「2年前の自分につけペンの注意事項を伝えるとしたら」をお題として”つけペンの特性”についてまとめておきます[1]

第1回
「ペン先」について
第2回
「ペン軸」について
第3回
「インク」について
第4回
「使い方のコツ」について

第1回 「ペン先」について

自分にあったペン先を探そう

小分けで売っているペン先(3本入)

つけペンは相性差が出やすい筆記具です。人から勧められたペン先が必ずしも自分に合うとは限りません。

各メーカーから3本入りで230円ほどのペン先が発売されていますので、それらを試しながら消化していくと、そのうち「これなら自分でも使えそう」と感じるペン先が見つかるはずです。

ペン先の種類があまりにも多くて把握できない人は、以下の項目が役立つはずです。

ペン先のブランド

ペン先のブランドと製造メーカー

文具店でもよく見かけ、入手・補充しやすい主要なブランドは、

  • 日光(ニッコー)
  • タチカワ
  • ゼブラ

の3つです。

希少性が高いペン先は、廃盤になると入手困難となるため、安定供給しているペン先を選ぶのもポイントです。

ペン先の種類

  • Gペン
  • 丸ペン
  • スクールペン
  • 日本字ペン
  • かぶらペン
    • サジペン(日光)
    • スプーンペン(タチカワ)
    • タマペン(ゼブラ)

※「かぶらペン」はブランドによって名称が異なります。

参考になる各種ペン先の特徴

各種ペン先の特徴を表した分かりやすいイラスト

引用元 しまねぇ&まやちゃん はじめての同人誌

画材として見たペン先の寸評ですが書き味の特徴が分かりやすく、参考になります。

上記画像には載っていない「日本字ペン」は、通常のペン先では書きづらい、線を下から斜め上に引く「ハネ」や「の」といった文字を書くのに適したペン先です。

ペン習字の用途では、どんなペン先が好まれているのか

個人的には「かぶらペン」を使っているケースが多いように感じます。

『ペンの光』手本でよく使用されるペン先

1位「ゼブラ / タマペン No.120」 2位「日光 / ポイントハード No.360(サジペン クローム」 3位「タチカワ / 日本字ペン No.44」

  • ゼブラ / タマペン No.120
  • 日光 / ポイントハード No.360(サジペン クローム)
  • タチカワ / 日本字ペン No.44

日ペンの先生方は、これらのペン先を使って手本を作成しているようです。

関連記事)ペン習字の先生が使う筆記具の傾向を探る

ちなみに、諸先輩方のペン習字ブログも参考にしてみると、

Stone penji
日光 / サジペン(クローム)
タチカワ / サジペン(クローム)
☆まゆ姫のペン習字日記☆
日光 / サジペン(ニューム)

サジペンを好んで使用されています。

「クローム」と「ニューム」の違い

ペン先によっては、「サジペン (クローム)」や「タマペン (ニューム)」といった表記があります。

この2つの違いは、

クローム
「やや硬め」を意味する。
クロームでメッキした鉄ペン。
錆に強く、耐久性に優れている。
ニューム
「柔らかめ」を意味する。
アルミニューム製の鉄ペン。
インクのぼた落ちが無く、インクの持ちに優れている。

このような特徴があります。

参考リンク)クロムとニューム – Stone penji

2年ぶりにもういちど試筆してみて

再度試筆した複数のペン先

当時、使いやすいペン先を選定した際に私が選んだのは、「ゼブラ / タマペン No.120」でした。

グロス買いしたこともあり、タマペン一筋で使い込んできましたが、他のペン先の感触を確かめるために再試筆してみました。

以下は、残しておいた各種ペン先の使用感です(いずれも3本入りのパッケージ)。

※商品名クリックで公式ページに飛びます。

日光 / N-サジクローム(品番:N357C-3)
この中でもっともペン先がしなりやすく、線の強弱をつけやすい。
2年前の私は、使い残したこのペン先に付箋メモしていたようで、「これは良いもの」と一言。たしかに。つけペンの魅力を引き出しやすいペン先でした。
タチカワ / T-600クローム(品番:T600C-3)
ひとつ上の「日光 / N-サジクローム」の次にペン先がたわみ、弾力がある。
タチカワ / T-44日本字(品番:T44-3)
ペン先のしなりやすさは、ひとつ上の「タチカワ / T-600クローム」と同じくらい。
ただ、こちらのほうがタテ線が太くなりやすい。線のメリハリを感じやすいペン先。
日光 / N-日本字(品番:N555-3)
カリカリ感が激しく、針の先で書いているよう。
丸ペン並の細い線が書ける。均一な線になりやすい。
ゼブラ / コミックGペン(品番:PG-6B-C-K)
筆圧ゼロによる線がとても細く、筆圧をかけた途端、ペン先がぐわっと開いて線が太くなる。
文字書きには不向きなように感じる。

手持ちのペン先をひと通り試したところで、改めて「ゼブラ / タマペン No.120」を使ってみると、触れ込みのとおり、ペン先の硬さをよく感じます。弾力に欠けるのでペン先はあまり開きません。

ただ、筆圧ゼロの状態でもそれなりに太い線が書けます。そこからわずかに筆圧を加えればしっかり線が太くなりますし、「抜き」に近い状態で書くと線が細くなります。

あえてオススメのペン先を挙げるなら

Q.ペン習字を始めました。どのペン先が適していますか?

日本字ペン、サジペンが推奨となります。

ペン先は類似の使用方法が少なく使うにあたり修練が必要となります。その中でも毛筆に近い使用感の2種類をおすすめ致します。

ペン先&ペン軸に関するよくある質問 – 立川ピン製作所

これまでの内容を踏まえると、「サジペン」「日本字ペン」「タマペン」から試してみてはいかがでしょうか。

Q.つけペン初心者向けのペン先はどれですか?
また、マンガを描くにあたって必要なペン先はどれですか?

つけペン初心者には「日本字ペン」が適しています(上下左右に描いても、紙に引っかかりもなく、クセも無いために、扱い易いです)。

また、一般的に丸ペン、Gペン、かぶらペン(タチカワ・スプーンペン、日光・サジペン)がマンガを描く際に必要なペン先となっていますが、つけペンは習熟に時間のかかる画材のため(特にGペンは相当の慣れが必要)、自身の画のスタイルや、クセ、レベルに合わせたペン先を選んで頂ければと思います。

ペン先&ペン軸に関するよくある質問 – 立川ピン製作所

画材として使用する人は、「日本字ペン」から始めてみるのがよさそうです。


ここまで各種ペン先の特徴についてまとめました。

ここから先は、実際につけペンを使用するうえでの留意点をいくつか挙げておきます。

インクの油膜は、拭き取るか洗うだけにとどめる

おろしたてのペン先は、製造工程の名残りか、うっすら油分を含んでいるように感じます。

そのままの状態でインク瓶に浸すとインクをはじきやすいため、人によっては火であぶって油分を飛ばすそうです。個人的には推奨しない方法です。

製造メーカーがせっかく書きやすい硬度の金属に仕上げているのですから、熱を加えて金属の性質を変えてしまうと、本来の書き味を失う恐れがあります。

インクの”はじき”が気になるときは、ティッシュで拭きとるか、台所用洗剤を1滴垂らして洗い流すだけで十分だと思います。

ペン先をインクに浸す際の深さ

インクに浸す深さは、ハート穴より手前

画像のペン先、「ゼブラ / タマペン No.120」には、インク持ちが良くなるように細いヨコ筋が幾重にも入っています。

目安としては、このヨコ筋が少し浸かるくらい(丸い穴より手前)が丁度いいのではないかと思います。ペン先にインクをたくさん含ませても、使い切る前にインクが乾き、線がカスレやすくなるため、少量のインクをこま目に付け直した方が書きやすいように感じます。

参考リンク)つけペン(9) — Stone penji

ペン先のインクはこまめに拭き取る

ペン先に付着したインクは時間が経つにつれて乾き、スリット(縦の切り割り)を通るインクの流れを阻害します。線がかすれる原因のひとつです。

このカスレが本当に厄介で、少し席を外す用事があったらペン先を拭っておかないと、スリットにインクが固着してしまい、ほとんど書けなくなります。その後の書き味にも悪さをきたすため、インクはこまめに拭き取る必要があります。

インクを拭き取る頻度は、

  • 5~10文字書くごとに、ペン先を拭ってからインクを付け直す。
  • インクを継ぎ足しながらキリが良いところまで書いてしまい、その後、よく拭き取る。

人によってマチマチなようです。

使い終わる際は水で洗う

水洗いした後は、錆を防ぐためにもよく拭き取る

その日の練習が終わったら、ティッシュや布で拭うだけでなく、さっと水洗いした方がインクによる目詰りを防止できます。

いちど水に浸してからペン先を拭う作業を5回ほど繰り返すと、インク成分がほとんど残りません。

参考リンク)つけペン(10) — Stone penji

カスレの悩みは水洗いで解決できる

つけペンの経験が浅い人ほどカスレの原因を特定するのに苦慮します。

それは書き方が悪いのか、ペン先が悪いのか、はたまたインクが悪いのか。

数ある原因のうち、インクを起因とする問題を解消するなら、水に浸してよく拭き取るのがもっとも確実な解決方法です。

ペン先の寿命をどう見極めるか

新品のペン先(左)と使い古しのペン先(右)を見比べた拡大画像

左が新品のペン先。右がもう使えないと判断したペン先です。

両者の違いは目視ではほぼ分かりません。しかし、実際に書いてみると、使えない右のペン先は、0.7ミリのボールペンほどに線が野太くなってしまいます。使えないことはありませんが、「線の強弱」をつける特徴を失ったので、ペン習字の用途では寿命を迎えたことになります[2]

ペン先の平均寿命は、使う人の筆圧によって、1週間ほどでダメにしてしまう人もいれば、1ヶ月以上使い込む人もいるようです。

長く使える条件があるとしたら、

ペン先の個体に恵まれた
粗悪品のペン先にあたると、数日の使用で線が太くなってしまいます。
ペン先の品質にはバラつきがあるようです。
筆圧は最小限に
材質の影響なのか、いちど開いたペン先は復元力に乏しく、時間を置いても元に戻りません。

ペン先を使い込むほどスリットは徐々に開き、繊細な線質を表現しづらくなります。

これは私の苦い経験談ですが、新調してその日のうちにダメになったペン先(粗悪品)を「もったいないから」とケチくさく使い続けた結果、つけペンの特性をつかむまでの期間がそれだけ長引いてしまいました。

つけペンが初めてな人は、何が良くて何が悪いのか、手先の感覚に基づいて判断するのが難しいかもしれません。

個人的には、ひとつのペン先を使い古すより、数本のペン先をローテーションしながら使い込んだ方が粗悪品の見分けをつけやすく、きれいな線が出る感触も掴みやすくなると思います。

使えないと判断したペン先は、潔く2軍用にストックし[3]、取り替えるタイミングの場数を踏んでいきましょう。「このペン先はそろそろ潮時だな」といった感覚やペン先の消耗度を察知する感覚が磨かれます。


次回は、「ペン軸の選び方」について説明します。

  1. 間違い等ありましたらご指摘いただけると助かります。「私はこのように使っています」といったコメントも大歓迎です。 []
  2. 寿命を迎えたペン先は、封筒の宛名書きなどに流用できます。 []
  3. 水滴が残っていると、サビの原因になりますので、よく拭きとってから保管するようにしてください。 []
スポンサーリンク

シェアボタンから、この記事の情報をおすそ分けできます

コメント

  1. 今井 裕之 より:

    2mm位の漢字を書くとしたらどのペン先がいいでしょうか?

  2. uta より:

    おそらく、日光 日本字ペン(品番:N555-3)が
    よろしいのではないかと思います。

    私が試したペン先の中では、
    線幅が均一になりやすく、かつ細く書ける特徴が
    あるように感じました。

  3. 今井 裕之 より:

    有り難うございます。早速、試してみたいと思います。参考になりました。

  4. かりん より:

    漫画書くとき使えそうです。