2015年 ペン字いんすとーる経由で購入された本 ベスト3

書店で見かける平積みされた本は、「今売れてます」「過去に売上の実績がある」そんな意味合いを持った書籍でもあります。

ペン字コーナーの書棚といえば、中塚 翠涛先生の著書を面陳列(表紙を見せて展示)している店舗が多く、長期間に渡って『30日できれいな字が書けるペン字練習帳』が不動の地位を保っています。

そういった「書店ベースで売れている本」と「ペン字いんすとーるを経由して売れた本」を比べてみると結構な違いがあり、なかなか興味深い結果となりました。

なぜこの本が売れているのかといった分析も含めて、2015年に当サイト経由で購入された本をランキング形式で発表してみたいと思います。

第1位 『まっすぐな線が引ければ字はうまくなる』

『まっすぐな線が引ければ字はうまくなる』
高宮 暉峰 (著)
日本実業出版社 (2006/5/18)

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正しいペンの持ち方について調べてみたの記事内で、小指の使い方についてこの本を紹介したところ、タイトルにも訴求力があるのか、長年売れ続けている不思議な本です。

本書は、「美しい字のイメージを頭の中に焼き付け、それを忠実に再現するために、まずは線を書く練習から始めよう」をテーマとした初心者向けの練習本で、知ってしまえば何の事はない極ありふれた内容かもしれません。

ただ、他書にはない特徴があって、

  • 字は肘で書く(p26)
  • 小指が働くと字は劇的にうまくなる(p70)

といった、体の上手な動かし方についての解説が特筆すべき点になっています。

私の中で、この人が物事の上達法をテーマとした本を出版したら前評判とか気にせず購入するだろうなっていう人がずっといて、それが武井壮さんなんですね。

武井壮さんは、「素手で猛獣を倒す人」というイメージが定着しているタレントですが、陸上の十種競技で優勝した経歴を持っているアスリートでもあります。

武井壮さんが力説するスポーツの上達法って、精神論や根性論とは全く異なる境地に軸を置いているのが私にとっては面白く、その根底には「自分の体を思い通りに動かすには」という独自の見解があります。

武井壮
野球やるじゃないですか。その時に、全打席ホームランを打ちたかったんですよ。
吉田
漠然とそうは思うけど、すぐに「普通、無理や」って思うよな。
武井壮
俺は打てると思ってるのに、打てないのが不思議だったんですよ。打ちたいのに、打てないのは何故か?
吉田
うん。
武井壮
それで悩んでた時に、ウチの親父がビデオを撮ってたんです。それで自分のフォームを見たら、愕然として。
吉田
何が?
武井壮
俺じゃない、と。俺は頭で思ってるだけで、思った通り動いてないんだ、と。これがスポーツを停滞させる理由や、と。スポーツは、頭で思ってることができれば、全部成功できるんですよ。
吉田
うん。
武井壮
たとえば、棒高跳びの棒を越えたいって思って越えられたら成功じゃないですか。ヒットを打ちたいと思って、人のいないところに打てたら成功じゃないですか。
吉田
うん。
武井壮
それが出来てないから失敗したんだってことが、分かって。だから、スポーツの練習をしちゃダメだって思って。
吉田
うん?
武井壮
ということは、頭で思ったことが出来てれば良いんだ、と。
吉田
うん。
武井壮
それが出来てないから失敗したんだってことが、分かって。だから、スポーツの練習をしちゃダメだって思って。
吉田
うん?
武井壮
まず、武井壮を動かす練習をしなきゃダメだ、と。
武井壮「子供の頃から練習しなければ大成しないという風潮は間違い」

こういったロジックでスポーツを攻略する姿勢は、上達の仕組みがブラックボックスになっている全ての物事にも通じると思うのです。

字が上手くなる方法だってそうですし、思った通りの絵を描くにしてもこういった頭と体のズレを直す視点に立って取り組めば、練習の質は確実に上がります。

自分で考えてやってみる姿勢が大切というか、四の五の言わずにこのメニューをやってくださいと強制されるより、「それをやる意味」の根拠が分かったうえで練習した方が確かな上達を実感できます。

そういった話の中で「まっすぐな線が引ければ字はうまくなる」というのは、自分の中に正しい基準をひとつ作ることに繋がるんですよね。

正しいペンの持ち方にしてもそうですが、ズレた基準を持ったまま技術が発達してしまうと、ズレた状態の中で全てをやりくりしないといけません。

そうすると、一度スランプに陥ってしまったとき、なんとかしていつもの調子に戻そうと思っても、そもそものニュートラルがズレた状態なので修正するのが難しく、長い目で見るとこれは成長の伸びしろにも関係してきます。

頭と体をつなげるためのトレーニングとして、「まっすぐな線を引く練習をしましょう」というのは実は理にかなっていたりするわけで、本のタイトルに得も言われぬ魅力を感じた人は、おそらくこういった期待感を持って手にされたのだと思います。

第2位 『硬筆書写技能検定3級合格のポイント』

『硬筆書写技能検定3級合格のポイント〈平成27年度版〉』
狩田 巻山 (著)
日本習字普及協会 (2015/03)

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硬筆書写検定2級,3級の対策方法についてまとめたところ、鉄板書でもある『合格のポイント』を手にする人が増えました。

関連記事)硬筆書写検定3級を受験するにあたって知っておきたいコト

特に『3級合格のポイント』の数が出ているところを見ると、このサイトの読者層が見えてくるようでもあり、ペン習字を始めて間もない人に対して書写検定の意義を伝えられたのは良かったなぁと。

書写検定の設問内容は長らく変わっておらず、もしかしたら一部の問題においては取り組む価値を見いだせないかもしれません。

ただ、そうはいっても硬筆を専門とする競書誌は、こぞってこの検定に準拠した作りになっていて、結局のところ、練習の成果を資格として残すには硬筆書写検定が最適なのだと思います。

基礎からやり直す意味を含め、私も3級から受験している最中です。

第3位 『いつのまにか字が上手くなる本』

『いつのまにか字が上手くなる本』
田中 鳴舟 (著)
PHP研究所 (2002/04)

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第3位は、日ペンの会長が書かれた字形の整形ルールをまとめた本でした。現在は絶版となっており、出回っているのは中古本のみです。

アマゾンだと1円プラス送料で手に入る影響なのか、コンスタントに数が出た書籍です。

関連記事)目習いのコツが分かる『いつのまにか字が上手くなる本』

2015年 個人的な出来事

私のペン習字年表

私にとって2015年は、ペン習字を始めて10年目という節目の年でもあり、「10年やっていればさすがに何か形として残るだろう」というおぼろげな希望が成就した年でもありました。

私自身、元々きれいな字を書く能力に優れていたかといえば全くそんなことはなく、パイロットペン習字は飛び級なしの9級からのスタートでした。

とりあえず1年やってみて 9級 → 4級 まで上がりましたが、取り立ててハイペースで昇級することもなく、ごく平凡な通信教育生として自分に出来ることを足掛け8年半、コツコツと積み重ねてきました。

続けてさえいれば上達を望めるけど、その継続がむずかしいのがペン習字という習い事です。

ペン習字を楽しく続けるコツを含め、2016年もこのサイトを通してこれまでの経験や気付きを還元していけたらと思います。

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コメント

  1. 匿名 より:

    はじめまして。
    来年あたり子供塾(算数国語)での指導を検討しています。
    保護者に向けてのお手紙など字を書くことも多くなると思いユーキャンのペン字講座を受けようかなと思っていたところ丁度新聞広告が入ってたので確認したところなんとなく、字体が好みではなかったのです。そこで色々調べるうちにこちらにたどり着きました。

    そこで質問なのですが正確な楷書が学べるおすすの通信講座はありますでしょうか?
    例えば糸へんの下部が点々々と3つ連なるような形ではなくちゃんと小のような形である、のぎへんの縦棒の下をハネていないなど子供に見せるのにも正しい字体を学びたいと思っています。
    よろしくお願いします。

  2. uta より:

    当方で探してみたところ、
    「青山浩之監修 ペン字講座」が該当するのではないかと思いました。

    書写・書道の教員育成にも携わっている方が監修されているので、
    教科書体がベースとなっているはずです。

    詳しくは、公式ページから資料請求した後、
    教材のサンプルをご確認ください。

    行書のテキストも学ぶスケジュールが組まれていますので、
    価格との折り合いがつかない場合は、
    書店で入手できる青山先生の練習本を確認してみると
    よろしいのではないかと思います。

  3. 匿名 より:

    回答ありがとうございます!
    いくつか探したつもりでしたがこちらはヒットしませんでした。
    とても良さそうなので早速資料請求してみます。
    本当に助かりました。ありがとうございます!!

  4. 高宮暉峰 より:

    素敵な書評をありがとうございます。武井壮さんとの視点が大変嬉しかったです。意図をお汲み取りいただきまして、本当にありがとうございました。今後とも引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

  5. uta より:

    流し読みして終わることもできるのでしょうが、
    この本は私にとって色々な考えを与えてくれる一冊になっております。

    こちらこそありがとうございます。