『ペンの光』という競書誌

『ペンの光』

『ペンの光』は、日本ペン習字研究会が発行しているペン習字上達のための専門誌です。全国に展開している支部教室の教材として使用され、2万人近い購読者がいます。

『ペンの光』で学べる8つの硬筆ジャンル

『ペンの光』では、バラエティに富んだ硬筆用の課題が用意されています。

それぞれの部門を簡単に説明すると、

級位・段位が認定される部門 3つ

規定部
1,2行の短文を書き、ペン習字の基礎を学ぶ部門。
かな部
平安朝の古典仮名を書く部門。
筆ペン部
祝儀袋の表書きなど筆ペンの扱いが上手くなる部門。

応用力が身につく部門 5つ

漢字部
漢字の2字熟語(楷書・行書・草書の3体)を書く部門。
手紙実用部
季節の便りといった、暮らしに役立つ文面を書く部門。
受験部
硬筆書写検定を想定した問題(たて書き・よこ書き)に挑戦できる部門。
ポスター・掲示部
フェルトペン、コピックを使ったポスター制作を学習する部門。
自由制作部
毛筆以外の筆記具を自由に使用してオリジナル作品を創作する部門。

基本的には、毎月の誌代のみでどの部門にも出品できます。

『ペンの光』ひとくちメモ

目次から分かる本誌の内容

『ペンの光』 目次

冒頭には、会長である田中鳴舟めいしゅう先生のコラム「ペン習字あれこれ」や元会長・三上秋果しゅうか先生による「季節のことば」が掲載され、月例課題 → 優秀作品の発表 → 成績発表 といった流れになっています。

出品方法は、巻末に詳しく記載されています。

自分の成績を確認するのが大変なほど、他団体とくらべて参加者がとても多い競書誌です。競争率も激しいため、その上澄みとなる優秀作品は級位の段階から総じてレベルが高いように感じます。

『ペンの光』 かかる費用について

誌代
毎月776円
半年もしくは1年分の前納が必要
用紙代
A型~F型の出品用紙 10冊1組(300枚)
各453円~810円

日ペンの級位・段位の認定順序

日ペンにおける級位・段位の認定順序

規定部・かな部・筆ペン部の3つは、毎月出品する作品の出来によって級位が上がります。

それぞれの部門で10級から始まり、5段までは審査費が無料です。

5段以降も昇格するには、年に数回実施される昇格試験に合格する必要があります。

5段 → 推薦 へ上がるには
3月号 もしくは 9月号で発表される昇格試験に合格する。
受験料(3,240円)
推薦 → 準師範 へ上がるには
3月号 もしくは 9月号で発表される昇格試験に合格する。
受験料(3,240円)
準師範 → 師範 へ上がるには
三段以上で日ペンの講習会に参加し、受講証明書をもらう。
受講証明書を取得した上で、9月号で発表される昇格試験に合格する。
準師範 → 師範 にかかるお金
講習会の参加費用(8,100円)
師範試験の受験料(11,800円)
試験に合格した場合の登録料(54,000円)
合計(73,900円)

師範位を取得すると、日ペン系列の教室を開講する許可をいただけます。

フリーで活動する個人教室ではなく、支部教室の先生となるメリットとしては、

教材を作成する手間がほとんど要らない
競書誌『ペンの光』がそのまま教室用の教材となる。
日ペンの指導陣が共同作成した『硬筆書写テキスト』全9巻を授業の資料として使える。
生徒のレベルに合わせた課題の選定
階級別の競書課題に取り組んでもらうことで、飽きずに継続して通ってもらえる。
集客に欠かせない広告チラシの作成
本部による開業サポートも一部あり。

といった初期準備の手間を緩和できる点でしょうか。

参考 指導者を目指す!教室を開く! - 日本ペン習字研究会

師範という資格を取得すると、ペン習字に対する取り組みや今後の展望が鮮明になる自覚はありましたので、教室運営を始めるかどうかは別として、高みを目指して練習に励むことは悪くない取り組みだと思います。

資格取得にかかる費用については、見ての通り安くはないです。ただ、民間団体の最高位を取得するにあたって、その都度おさめる検定料などを合算・比較すると、どの団体も似たり寄ったりな印象があります。

日ペンの場合は、最終盤の試験で大きな支払いが発生します。

見本誌の請求先

見本誌請求ページ - 日本ペン習字研究会


日ペンは、私が所属している団体でもあり、少しだけ内情に詳しいです。初めて購読する人がつまずきやすい点についても、いくつか記述しておきますね。

初めての個人購読から出品するまでの流れ

1. 『ペンの光』の購読手続きを行う

『ペンの光』を購読するには2通りの方法があります。

1.見本誌に同封された申込書に必要事項を記入して、ポストへ投函する
日本ペン習字研究会 - 「競書誌」見本誌の請求
2.公式サイトから直接、購読手続きを行う
日本ペン習字研究会 - 「競書誌」購読のお申込み
半年の購読料
4,656円
年間の購読料
10,089円

いずれの方法も、付属の払い込み用紙による支払いとなります。

2. 清書用紙を準備する

日ペンの支部教室に通う場合は、先生が清書用紙を手配してくれますが、個人での購読となるため自分で準備する必要があります。私はこの用紙の選び方で一度つまづきました。

複数の種類がある日ペンの清書用紙

出品部門に応じた清書用紙を以下にまとめておきます。

「規定部」に初めて出品するには
A-1用紙(10級から1級まで使える)
「かな部」に初めて出品するには
A-1用紙(10級から5級まで使える)
「筆ペン部」に初めて出品するには
F用紙(10級から四段まで使える)
「漢字部」に初めて出品するには
C用紙
「手紙実用部」に初めて出品するには
B用紙 , C用紙
「受験部」に初めて出品するには
D用紙(たて書き用), E用紙(よこ書き用)

級位が上がる部門だけに限定すると、とりあえずは、A-1用紙とF用紙だけ揃えれば大丈夫です。

手紙実用部と受験部は、月ごとに使用する用紙が変わるため、予め2種類の用紙を準備しておく必要があります。

これらの清書用紙を手に入れるには、日本ペン習字研究会のネットショップから注文するか、『ペンの光』の巻末にある「通販部商品のごあんない」から注文することになります。

1組の清書用紙 およそ300枚

10冊1組単位(合計300枚ほど)での注文となるため、ひとつ注文すれば、半年から1年は持ちます(個人差あり)。

3. 課題を練習する

『ペンの光』規定部 課題

(画像クリックで拡大)

使用する筆記具は、備考欄に記載されたペンを使ってもいいですし、使い慣れたボールペンでも構いません。高段者になると、線質の美しさにも配慮し、「つけペン」を使用する方が多いようです。

完成レベルまで持っていく練習の大まかな流れとしては、

  1. まずは、漢字練習帳で一字ずつ練習 (字形を整える段階)
  2. 罫線が入った用紙で文として書く練習(字粒のバランスを整える段階)
  3. 競書用紙で本番(両方の成果を発揮できるように)

日ペンでは、手本を忠実に書写するための「観察力」と「再現力」が求められるため、ガイドラインを記した下敷きがあると便利です。

個人的に自作した下敷きでよければ、印刷して使ってみてください。

ダウンロード >> 『ペンの光』清書用下敷き用紙 調整中

A4用紙に印刷後、競書用紙にセットして使うタイプの下敷きです。

あとは、ネットで視聴できる動画資料として、日ペンが運営する「美文字くらぶ」というサイトがあります。

当月の競書課題について、日ペンの会長でもある田中鳴舟先生が実際に運筆する様子を参考にできます

会員限定動画の一例としては、

  • 「規定部」「筆ペン部」課題の模範となるペン運び(毎月更新)
  • 毎月1名限定の応募者添削の様子 など

特に応募者添削の動画は、初学者の人を対象とした口頭解説になっていますので、まさに講習会の雰囲気に近い印象がありました。

「美文字くらぶ」そのものは、きれいな字を書きたいあらゆる層を対象に広報しているようですが、日ペン会員の方でも役に立つコンテンツが多いです(明らかに使い得となるのは『ペンの光』級位クラスの出品者)。

動画を視聴にするには、会員登録が必要です。登録後は、メールアドレス宛に動画手本の更新情報を通知してもらえます。

会員登録【無料】 「美文字くらぶ」

4. 競書券を貼り付けて投函する

作品が出来上がったら、各部門の競書券を貼りつけて所定の住所へ送ります。

日ペンの競書券

結果を知るまでには3ヶ月待たなければならず、例えば4月号に提出した課題は、7月号でその結果が発表されます。

関連 『ペンの光』 作品講評から分かる昇級・昇段、練習のコツ

競書誌の添削案内を利用せず、先生から指導してもらうには

個人で『ペンの光』を購読する場合、基本的には独学に近い形で出品を続けることになります。

上達の早道として、有料添削の案内が『ペンの光』には記載されているものの、1課題につき1,000円を郵便為替で支払う必要があり、利用のしづらさ、価格面で難があります。

一例になりますが、自宅学習で日ペンの先生に教えを乞う場合、次の3つの選択肢を選ぶと、支払い手続きや金銭面による負担を軽減できます。

パターン1. 初学者用の通信講座を受講して基礎を固める
日ペンのボールペン習字講座でペン習字の”いろは”を学べます(全12回の添削)
パターン2.「競書」と「通信添削」がセットになった料金コースを利用する
『ペンの光』6ヶ月分 + 添削指導6回をセットにした割安パッケージ「美文字スターターキット」で競書の出品に慣れる。
※このスターターキットは、「美文字くらぶ」の会員向けサービスになります。
パターン3. 支部教室の通信生として入会し、継続的に添削を受ける
提出作品を増やしても月謝分(一律料金)で見てもらえるお得な学習方法です。
※競書課題を添削してくれる通信教室には、倉田ペン書道教室などがあります。

(1 → 2 → 3 といったステップアップ学習も可能です)

このような学習サポートを携えておくと、昇格試験の支援体制も整っているため、根気さえあれば間違いなく師範クラスの技量を身につけられます。

教室に通う時間を確保できない人でも、それに近い学習環境は構築できます。

通学・通信教育、どちらを選ぶにしても、結局のところ、自宅学習の習慣が身につかない限り書字上達の道のりは険しく、「継続に繋がる要素をどこから引っ張り込むか」この点が重要な鍵になります。

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