私のペン習字遍歴について

悪筆をはっきりと自覚した日(2005年)

「いくら汚い字だって大人になれば深みが増して味のある書きぶりになるはず…」 それが安直すぎる考えであったと気付いたのは成人を迎えた年でした。

成人祝いにと、両親からスーツを新調する費用を工面してもらい、後日、紳士服店で注文したところ、「仕立てるのにお時間をいただきますので、こちらに受取人の氏名と住所をご記入ください」 との言葉が。

冷や汗をかきながら書いたあのときの自筆は、今思い出してもあまり良い気分がしません。

  • 自分でも下手だと分かっているのに、どうにもできないもどかしさ。
  • ミミズが張ったような字を人前で書く情けなさ。
  • 汚文字を通してまるで内面を見透かされているような不安感。

鬱屈した感情が錯綜する中で、付き添いで同行してもらった父からは「父さんも自慢できるような字は書けないけれど、お前はもう少し丁寧に書いた方がいいな」と助言されてしまい、思えばこの苦言が私にとってのペン習字の原点だったように思います。

きっかけは新聞の折込チラシ

人の弱みにつけ込んだ広告はどうしてあんなにも魅力的に感じるのでしょうか。

これから幾度も経験するかもしれない、自分は悪筆なのだと突きつけられる場面。それらを当然のようにやり過ごす心の余裕を当時の私は持ち合わせておらず、正月明け恒例の折込チラシを食い入るように見入りました。ユーキャンのボールペン字講座です。

  • まるで人生が好転したかのような受講生の声。
  • なぞって真似るだけで字がうまくなる手軽なレッスン内容。
  • 月割ならなんとか払える料金設定。

「この講座で今の不安が解消されるなら…」と藁をもつかむ思いで申し込んだその日は、まだ何も始まっていないというのに大船に乗った気分でした。

その1 ユーキャンの実用ボールペン字講座(2005年~2007年)

ほぼ勢いのみで始めてしまったのがユーキャンの実用ボールペン字講座でした。

「簡単に字が上手くなる方法などない」という気付きを得るには十分すぎるほどの教材を与えられ、テキスト3冊目でものの見事に挫折しました。受講者の声にあるような劇的な上達を体感できなかったのが主な理由です。

ユーキャンの実用ボールペン字講座を受講した後の筆跡

ただ、住所・氏名の添削はそれなりに効果があったようで、丁寧に書けば少しはマシな字が書けるようにはなりました。

「やっぱり実際のところはこんなものだよね」

練習量に比例してどんどん上達していく予想はとんと外れ、一筋縄ではいかないことを痛感します。

「ペン習字の現実」を知ってしまった後は、練習に身が入らず、受講期限が迫るにつれて焦りだし、追い込まれるように課題を提出してようやく修了しました。

その2 パイロットペン習字通信講座(2007年~現在)

ユーキャンのボールペン字講座を終えるも、実生活でその成果を実感するには、練習量がまだまだ不足している状況でした。そのため、以前から目星をつけていたパイロットペン習字の受講を開始します。

今度は下調べを怠らず、好きな手本を基準にして選びました。

パイロットペン習字の特徴は、

  • 年間受講料が割安な反面、
  • テキストは参考資料に過ぎず、
  • 練習方法を自分で考える必要がある。

少し風変わりな通信講座でしたが、好みの手本に出会えたことは、学習を続ける上での心強い支えになりました。

パイロットペン習字通信講座を3年間受講した後の筆跡

初級、中級、上級の3年間を通してある程度の力は身に付いたように感じます。

十分な時間を与えられた環境であれば、

  • 年賀状
  • お礼状
  • 履歴書

といった場面でペン習字らしい字が書けるようになり、かねてより目標としていた「通信教育で悪筆は直るのか」に終止符を打つことができました。

この時点でペン習字の練習を打ち止めとする予定でしたが、「出来るようになって好きになる」という今までになかった探究心が生まれ、徐々にペン習字が趣味化していくようになります。

ペン習字に付随する「紙モノ」「文房具」「万年筆」に興味を持つようになったのも、このぐらいの時期でした。

その3 日ペンのボールペン習字講座(2012年~2013年)

パイロットペン習字の課題を順繰りするうちに徐々にマンネリ化してしまい、「いちど基礎からやり直そう」と思い直して選んだのが日ペンのボールペン習字講座です。

この講座を通して、今までおろそかにしていた基礎(特に起筆)の技術を補うことが出来ました。

日ペン受講後の字

この頃になると、実生活でも行書を多用するようになり、楷書オンリーの頃と比べて、筆記速度はかなり早くなりました。

その4 『ペンの光』と通信教室への入会(2013~現在)

日ペンのボールペン習字講座を修了した後、スライドする形で日ペン系の競書誌『ペンの光』へ参加しました。

「個人購読で添削はなし」という条件下では『ペンの光』を続けるのが難しいと尻込みしていたところ、人づてで日ペンの通信教室を紹介していただきました。

ペンの光 課題

通信添削といっても、支部教室に通うのとほぼ同じ練習環境が用意されており、個人的には満足しています。

そんなこんなで現在は、

  • パイロットペン習字通信講座(A系統)の課題を毎月提出。
  • 『ペンの光』5部門を毎月出品。

といった並行学習を続けています。

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