たとえ一時でも身になるペン字教本の選び方

このサイトで紹介しているペン字教本は、当時の私にとって役立った本であり、今のあなたにとって有用であるかは保証できません。

ペン習字に関する本選びで重要なのは、「今の自分にとって足りない技術」や「これから補いたい技術」に焦点を当てることです。

たとえ一時でも身になるペン字教本の選び方について私なりの考えをまとめました。

書籍の高評価レビューはたいてい当てにならない

ネットショッピングにおける実体験として、クチコミを参考にしてよかったと思える商品ジャンル参考にしすぎると痛い目に合う商品ジャンルがあるように感じます。

生活用品の中でも家電製品はどのレビューも概ね参考になるのですが、こと技術向上に関する書籍に関しては、購入後、レビューの内容に賛同できなかったことがたびたびあります。

5つ星レビューが満点に近い「家電」と「書籍」。どちらも売れ筋の人気商品なのに個人的な評価がこうも分かれるのはなぜでしょうか。どうもこれは解決したい悩みを具体的に把握しているかが影響しているのではないかと思っています。

たとえば「炊飯器」を買い換えたいと口コミを調べたとき、価格.com のランキング上位に掲載される機種は、使いやすさや機能性に優れ、たいてい満足が行くものです。

「おいしいお米が食べられるか」は多くの人にとって重要な評価軸であり、どのレビューも炊きあがりの味について触れています。求める機能が割りとはっきりしている生活用品のクチコミは、読み手と利害が一致しやすく、なにかと参考になります。

一方で「文章がうまくなりたい」と、アマゾンやブログのクチコミを参考にしつつ、良書とされる書籍を買い揃えたとき、本当に役立つ本はあまりにも少なかった覚えがあります。

実際に手に取って気付いたのは、同じ文章術の本でも様々なカテゴリがあることでした。

  • 名作の一節を取り上げ考察し、表現の技巧性を高めることを目的とした本。
  • シンプルで分かりやすい文章を書くために文法の解説に重点を置いた本。
  • 書き出しで躓いてしまう人のために「そもそも何のために書くか」を丁寧に説明した本。 など

一概に「文章力を高めたい」と思っても、具体的にどのような問題を解決したいのかが見えてこないと、今の自分にとって必要な本は存外に分からないものです。

ペン字教本を選ぶ際も同様に、悩みのタネを明確にしておくとが大切です。

『楷行草 筆順・字体字典』は、書字を学ぶ多くの人にとって良書となりますが、学び始めの人にとって決して優先度が高いものではありません。

最適なペン字教本を見つけるには

「悩みのタネを明確にする」とはいっても、何が悩みでどんな状況に置かれているのかよく分からないのが初学者の悩ましいところでもあります。

ペン習字の上達要素を細分化すると課題が見えてくる

字が上手くなるための要素を細分化すると・・・

一度にすべてのことをやろうとせず、不明点を切り分けてシンプル化すると「自分の悩みがどこに属しているのか」「取り組むべき課題はどこにあるのか」が明白になります。

特に「字形を整えるコツ(間架結構法)」と「字配りのコツ(布置章法)」は別物と考えた方が段階的に学習しやすいです。

市販本には「字形矯正」に特化したジャンルが多く、硬筆の競書誌は「文章構成の統一、調和」に寄与しやすい課題が多く用意されています。

悩み別 本の選び方 一例

※記載した書籍はあくまで一例です。

まっすぐな線を書くことすらおぼつかない段階でしたら、線を書くトレーニングから始めるのが有益ですし、ペン習字の才能がないと諦めかけている人は、手本の見方を示した本が助け舟となるかもしれません。

「これ一冊をやれば大丈夫」といった本を探すよりは、今の悩みをピンポイントで解決してくれる本を探した方が長く役立つ気がします。たとえ断片的な知識しか摂取できなくても、悩みのステージが高度化していくと、同じ本を見返したとき、新しい学びを得られることがよくあるからです。

その時々に応じた答え(書籍)を探すのが独学の難儀な点でもあり、この手間を解決してくれるのが質問しやすい環境が整った通学教室や通信講座と捉えることもできます。

書店に足を運んで選ぶのが最も確実

なんといっても、自分の目で見て選書するのが素敵な本と出会ういちばんの近道です。

じっくり読みたいと思った本はその場で手に入れ、その日のうちに読む。期待まじりで実践する事柄は、それだけで定着率が良くなります。

ペン字教本が充実している書店の条件

売り場面積の関係上、売れ筋ベースで陳列せざるを得ない中小書店でペン字教本を探すよりは、駅近の大型書店に狙いを定めた方が経験上、意中の本が見つかる可能性が高いです。

在庫が豊富な大型書店の中でも、ペン字関連の書籍に力を入れているなと感じる書店の条件をいくつか挙げてみます。

硬筆書写検定の過去問が揃っている

過去数年分の『硬筆書写検定◯級合格のポイント』を陳列している書店は、担当スタッフの影響なのか、かなり熱が入っているといえます。

「合格のポイント」を置いている書店では、硬筆書写検定と関連性がある「桃花会」「狩田巻山」「江守賢治」先生らの著書が多く見つかるはずです。

『オフィスレディのペン習字』が置いてある

20年も前の書籍を陳列できる書店は、書棚スペースに余裕があり、他にも往年のペン字教本を豊富に置いている可能性が高いです。

こういった極一部の人のための客寄せ商品を置ける書店は、なかなか貴重です。

一昔前のペン字教本を手にとって見たい人は、最寄りの図書館で蔵書を探してみるのも一考です。

「良書」「必携」といったマジックワードに惑わされないために

懇意にしている先生が紹介してくださる本は、今の悩みを改善できる処方箋みたいなものです。

それに対して、レビューサイトの口コミをもとにペン字教本を選ぶのは、得体の知れない画集を手に入れる状況と似通っています。

どんなに内容が良くても、手本の書きぶりが意に沿わなければ飲み込みは悪くなりますし、風情を感じる手本で構成された教本は、多少の説明不足でも容認できます。

結局のところ、自分にとって必要な本は自分にしか分かりません。

皆が一様に推奨しているから「手元に置いて損はないだろう」と曖昧な気持ちで買ってしまうと、たいていは日の目を浴びず、「なにか違う」の違和感のもとに手付かずの蔵書となってしまいます。

実用書は、今ある悩みを顕在化した上で、手間を惜しまず内容を確認する工程が必要なのだと常々感じます。

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