2級 はがきに通信文を書く 概要とねらい
硬筆書写検定2級の第5問は、官製はがきと同じ形式の答案用紙に95字程度の通信文をタテ書きで体裁よく書く問題です。
受験する級位によって実技の第5問は、問題の内容がそれぞれ異なります。
- 3級 第5問
- はがきの宛名を書く
- 2級 第5問
- はがきに通信文を書く
- 1級 第5問
- 漢詩・和歌など自由作品を書く
2級の場合は、はがきを模した無地の答案用紙に6~7行のタテ書き文章を体裁よく書く問題になっています。
この場合の体裁を良くとは、
- 適当な字の大きさで、
- 適度な字間や行間を取りながら、
- 行が曲がったりしないように書き進める。
このような端正さが求められています。
年賀状や暑中見舞いを手書きで作成したい人にとっては、第5問の対策を通して実のある成果を期待できます。
実際の合格答案例
(わかくさ通信 平成23年11月号より)
(わかくさ通信 平成24年11月号より)
これは、2級第5問の合格答案例(2パターン)です。
後者の例はだいぶレベルが高いように思いますが、この答案は『1,2級合格のポイント』に掲載されている模範例(見本)でもあります。
書体の指定は特にありません。
- 楷書のみの構成
- 仮名を連綿としない行書
- 仮名の連綿を含んだ行書
このうち、ひとつの書き方を選ぶことになります。
上の例を見る限りでは、楷書のみ & 文章の配置にやや不自然さが残るような書きぶりであっても合格点となるようです。
答案する際の留意点
適度な行間を踏まえて書かなければならない点で、第3問のタテ書き問題とは別種の難しさがあります。
天地・左右が詰まらないように適度な余白を残し、1行あたり14字前後を目安とすることで、字数にもよりますがおよそ6行で収まります。
左の行数が余る分には構いませんが、後になるほど文字が小さくなってしまうのはいけません。
まっすぐ芯が通った文を書くには
タテ書きで行がブレないようにするには、それぞれの文字が備えている中心軸を把握することが大切です。
行頭にくる文字の中心を基準として、以降は「書字する文字の中心」と「直前の文字の中心」を合わせるように配置していくと、まっすぐ芯が通った文が書けるようになります。
(日ペンボールペン字講座 基本編より)
初心者向け教材の多くは、手本に文字の中心はどこにあるのか明記してあります。中心軸を踏まえた書写の習慣によって、罫のないタテ書きにおいても行が左右にブレにくくなります。
さいごに 受験のための裏ワザを覚えるのではなく
当サイトの硬筆書写検定対策は、「どうすれば効率的に問題が解けるのか、評点が上がるのか」に焦点を絞り、より具体的な答案方法についてこれまでまとめてきました。
中でも答案前の下準備については、そのまま真似するだけで答案時間の短縮が見込めます。余った時間を利用して苦手な問題に注力したり、余裕を持った見直しによってケアレスミスに気付けるかもしれません。
ただ、こういったすぐに役立つ知識というのは極めて限定的な場面でしか役に立たず、たとえば定規に目印を付けておくテクニックは、第2問でしか使えないその場しのぎの手法です。
(『ペンの光』 5月号 手紙部課題 形臨)
硬筆を専門とした競書誌はそのほとんどが硬筆書写検定に準拠した課題を設けています。
何よりの検定対策は、普段から実践に即した課題に触れておくことであり、この習慣によって実生活の筆記スキルが段々と向上していきます(むしろこちらが本分でもある)。
最近は、てっとり早く結果のでることを謳っている本が多い。
細々とでも長く続ける事の意義、大切さを顧みる事が少なくなってきたように感じる。
細々とでも長く続けた事は簡単にくずれる事はない
- 『わかくさ通信』 平成27年11月号
短期間に集中して勉強し、資格取得のために受験する考えもあるでしょうが、個人的には日頃の練習成果を測るものさしとして検定を利用し、持てる力を全て出し切り悔いを残さないためのサプリメントとして当コンテンツを参考にしていただければ幸いです。