硬筆書写検定2級 理論問題を効率よく対策するために

このページでは、硬筆書写検定2級の理論問題を対策するにあたって「どの参考書のどの部分を読み進めればいいのか」についてシラバス的にまとめました。

オススメの参考書と読み進め方

硬筆書写検定2級の理論問題に対応している参考書は次の3冊になります。

2級の理論問題は、次のような構成になっています。

第7問
漢字の筆順(楷書・行書)の正誤を当てる
第8問
旧字体と書写体を楷書に直す
第9問
草書を読む、ひらがなの字源、漢字の部首名を答える
第10問
漢字の字体(誤り)を訂正する

時間がない人でも短期間で2級の理論対策ができるように配慮し、それぞれの問題に必要な知識を備えるにあたって最適だと思われる参考書のページ部分赤字で示します。

第7問 漢字の筆順(楷書・行書)の正誤を当てる

第7問 問題文

2級 第7問 問題文

(わかくさ通信 平成26年11月号より)

第7問 解答

2級 第7問 答え

常用漢字の正しい筆順を知っているかを問う問題です。2級では、楷書と行書の筆順がおよそ半々の割合で出題されます。

第7問 読んでおきたい箇所

『理論問題のすべて』
p33, 34(過去問を解く)
p38~41(2級のための筆順一覧表)
p42, 43(注意すべき筆順一覧表)
『1,2級合格のポイント』※平成11年度版
p132, 133, p135(筆順が2つ以上ある楷書・行書の字)
p134, 134, p136~139(練習問題を解く)
巻末(過去問を解く)
『手びきと問題集』 ※平成27年度版
p146~148(2級向け筆順例一覧表)

2級の第7問は、小学校で教わる筆順のほか、小学校で教えていない楷書・行書の筆順が出題範囲になっています。

正しい筆順が2通り以上ある字については、その全てを把握しておかなければならず、暗記によるゴリ押しルートを選択すると厄介さが増す問題です。

筆順についての基本的な考え方について言及した『楷行草 筆順・字体字典』(p9~26)を読み込んでおくと、その法則性が見えるようになり、正答率が上がります。

第8問 旧字体と書写体を読む

第8問 問題文

2級 第8問 問題文

(わかくさ通信 平成26年11月号より)

第8問 解答

2級 第8問 答え

旧字体、書写体を常用漢字の字体(楷書)で書く問題です。

第8問 読んでおきたい箇所

『理論問題のすべて』
p103~107(まず覚えるべき旧字体の一覧表)
p108~115(まず覚えるべき書写体の一覧表)
『1,2級合格のポイント』※平成11年度版
p147~152(練習問題を解く)
巻末(過去問を解く)
『手びきと問題集』※平成27年度版
p136, 137(旧字体の例一覧表)
p138~140(書写体の例一覧表)

「旧字体」とは、終戦後に政府が告示した当用漢字表によって現在では使われなくなった漢字を指します。日本の敗戦とGHQによる教育改革に端を発し、より分かりやすく使いやすい漢字表を公表したことで、新漢字、旧漢字という呼び名が生まれました。

「書写体」とは、歴史的建造物や書道の古筆で目にするような漢字を指します。漢字の標準がまだ定まっておらず、1つの字について2つ以上の形があってもそれほど障害にならなかった頃の漢字のことを「書写体」(異体字とも)と呼びます。

お寺の門標や江戸時代の古文書、戦時中の手紙などをもし読む機会があったら、ここでの知識が役立つかもしれませんね。

第9問 草書を読む、ひらがなの字源、漢字の部首名を答える

第9問 問題文

2級 第9問 問題文

(わかくさ通信 平成26年11月号より)

第9問 解答

2級 第9問 答え

2級の第9問は、3つの問題が複合しています。

  • A. 「草書の熟語」を楷書に書き改める問題
  • B. ひらがなの字源を問う問題
  • C. 漢字の部首名を当てる問題

第9問 読んでおきたい箇所

『理論問題のすべて』
p56, 57(部首名の一覧表)
p153, 154(”もとの漢字から平仮名への変遷”)
p123, 124(草書を読む問題)
『1,2級合格のポイント』※平成11年度版
p168, 169(ひらがなの字源一覧表)
p171, 172(部首名の一覧表)
p173~176(練習問題を解く)
p209~216(草書のパーツ別 一覧表)
p217~256(常用漢字の草書)
巻末(過去問を解く)
『手引きと問題集』 ※平成27年度版
p152, 153(部首名の一覧表)

草書が読めるというのは、一つの立派な教養である。茶室や座敷の床の間に掛けてある掛軸の書が読めるということは、なんとすばらしいことか。(p125)

江守質治 『理論問題のすべて』 (1995/9)

草書を読む問題が鬼門かもしれません。

常用漢字の草書を一字ずつ覚えるよりは、『1,2級合格のポイント』に掲載されている”草書のパーツ別 一覧表”を読み込み、部首ごとの草書を覚えてしまった方が記憶の応用を効かせやすいです。

その上で過去問にあたってみて現在の立ち位置を確認しておくと、今後の勉強量を把握しやすくなります。

第10問 漢字の字体(誤り)を訂正する

第10問 問題文

2級 第10問 問題文

(わかくさ通信 平成26年11月号より)

第10問 解答

2級 第10問 答え

誤字や不適当な字を指摘して、正しく書き改める問題です。

ここでいう「誤字」とは、線が中途半端に止まっていたり、字形そのものが間違っている文字を指し、「不適当な字」は、旧字体や書写体を指しています。

第10問 読んでおきたい箇所

『理論問題のすべて』
p19, 20, 21(まちがい捜しの問題で修正すべき字)
『1,2級合格のポイント』※平成11年度版
p187~194(練習問題を解く)
巻末(過去問を解く)
『3級合格のポイント』 ※平成21年度版)
p138, 139, 140(訂正すべき文字の一覧表)

2級から受験する人は、『理論問題のすべて』p19,20,21が参考になります。

3級から受験している人は、『3級合格のポイント』”訂正すべき文字の一覧表”が再び参考になります。

不適当な漢字の字形につられてしまい、正しい漢字があやふやになる罠が潜んでいる問題です。手書きの習慣が染み付いている人ほど答案が容易になります。

2級の理論問題は各問100点満点です。合計400点満点のうち、295点以上に達して合格となります。