3級 ヨコ書き(漢字かな交じり文)の概要とねらい
硬筆書写検定3級の第4問は、70字前後の漢字かな交じり文をヨコ書きで書く問題です。
私たちの身の回りにある実務的な文書は、ヨコ書きによる書式が広く普及しています。
それらはたとえば、
- 宅配便の伝票
- 役所に提出する申請書
- 履歴書、願書など
1,000年以上続くタテ書きによる記法と比べると、西欧の記法に倣ったヨコ書きは戦後から70年足らずとその歴史はまだ浅く、日本語表記の歴史的な変遷からみれば、ヨコ書きは生まれて間もない記法といえます。
そのせいもあってか、ペン習字においても「ヨコ書きの方が難しい」と感じる人は割合多くいるようで、これは漢字や仮名がタテ書きを前提とした書き順となっていることと相関しています。
ただ、ヨコ書きにはヨコ書きの美しさがあり、実生活に深く結びついている書き方でもありますから、第4問の対策を通して、あらゆる筆記場面をそつなくこなせるようになりましょう。
実際の合格例
(わかくさ通信 平成27年3月号より)
これは、3級第4問の合格答案例(一部)です。
- 字間を均等に保っている。
- 文字の流れが上下に乱れず、行のほぼ中心を通っている。
これだけ書ければ合格となる点で参考になります。
答案する際の留意点
3級のヨコ書き問題で押さえておきたいポイントは3つあります。
- 行頭・行末を揃える。
- 1行あたりの文字数を守る。
- 字間はゆとりを持たせて均一に保つ。
以下、具体的に説明していきます。
その1 行頭・行末を揃えるために出来ること
書き始める前の準備として、まず左右の余白を決めます。
左右の余白を5ミリほど空けると、枠に対して文章がほどよく収まります。
答案欄は、問題文に対して多めに設けてありますので、字間にゆとりを持たせて書いても3行ほどのスペースが余るかと思います。
その2 各行の目安となる文字数は?
1行あたりの文字数は14~16字が目安となります。
この目安を保つにあたって指標となる項目をいくつか挙げておきます。
字粒の比率を考える
ヨコ書きの場合、字粒は漢字同士、ひらがな同士で揃えます。漢字の大きさを基準(10)にしたとき、ひらがなの大きさは8、カタカナは6といった比率が望ましいです。
また、数字・英字(大文字)は8の比率、英字(小文字)は6の比率に分類されます。
罫幅に対する文字の大きさを考える
第4問の答案用紙は、1行の幅が15ミリです。この場合、文字の大きさを罫幅の半分に設定すると、書きやすく読みやすい構成になります。
『3級合格のポイント』に掲載されているヨコ書きの模範例は、およそ上の画像のような文字構成になっています。上の空きaと下の空きbを足すと、赤色で示したAの幅になります。
この幅Aは、罫幅に対してちょうど半分の長さです。これは、すべての文字を平均すると罫幅に対して約半分の大きさになることを意味します。
その3 ほどよい字間を保つには
文字と文字の間は、常に等間隔である状態が望ましいです。この場合、単純に文字の右端と左端を揃えるのではなく、あたかも“揃っているように”見せなくてはなりません。錯視による影響を踏まえて字間を調整します。
ここまでをまとめると、
- 左右の余白を5ミリに設定する。
- 罫幅の半分となる字粒を基準として、
- 漢字(1) > ひらがな(0.8) > カタカナ(0.6) の比率を保ち、
- 字間は等間隔に見えるように。
これらの約束事を守ると、1行あたりの文字数は14~16字に収まります。
さいごに 数字の書き方を統一しよう
数字は、「直立体」と「斜体」が混ざらないように書体を統一します。
他にも細かい注意点として、数字や英字は1行内に収めるようにします。ただ、英字表記が2行にまたがってしまうときは、音節の切れ目にハイフンを入れれば大丈夫です。
こうしてまとめてみると、ヨコ書きをうまくまとめるには何かと注意点が多く、その上どれも重要なことばかりです。