硬筆書写検定3級を受験してきました

6月下旬に行われた硬筆書写検定3級を受験してきました。

実際に試験を受けてみて感じたこと、中でも普段の実力を出すために当日できることについて思う点がいくつかありましたので、このページにまとめておきます。

時間に余裕を持って会場入りしておくと安心

書写検定の会場は、各県の県庁所在地に指定されていることもあり、遠方から公共機関を乗り継いでアクセスする人も多いのではないでしょうか。

特に初めて受験する人にとっては、慣れない土地で会場を見つけ出すだけでも一苦労となるはずです。

試験日前に届く受験票には、試験会場の近辺地図を表記してありますが、土地勘の薄い人が建物名や道路名を頼りに会場までたどり着くのはかなり難しいと思います。

前もって下見をしておくか、グーグルマップを使って自宅から会場までの道のりや所要時間を把握しておくと、仮にアクシデントに会っても心の余裕がまるで違います。

どの試験地でも開始時刻の1時間前には会場入りできるはずです。自分の席に着席してから試験開始までの時間は、

  • 不安な問題について参考書でチェックする。
  • 心を落ち着かせ、集中力を養う準備。
  • 体を休ませて汗を引かせる(夏の時期)。
  • カイロなどで手を温める(冬の時期)。

などの行動にあてることができます。

特に実技問題は「手先を器用に動かして答案する」そういった時間でもありますから、書字するにあたって妨げとなる諸問題は予め取り除いておきたいところです。

手汗の問題について

年度内で3回実施される書写検定のうち、もっとも高温多湿となるのが6月下旬にあたる第1回目の試験です。

試験地が高校や大学の教室だと、エアコンが設置されていない場合もあり、手汗による答案用紙のべとつきが集中力を妨げます。

試験開始前は、携帯用のパウダーシートを使ったり、お手洗いに備え付けの石鹸を使って手脂を落としておくと、紙あたりがサラサラとして書きやすいです。半袖の人は、「肘と手首の間」もこの時期だと机にベトつきますから軽く拭いておくといいですよ。

手先の冷え問題について

真冬の1月に行われる書写検定は、手先のかじかみが天敵です。自宅から会場までの道のりは厚手の手袋で防寒し、会場の室温が低い場合を考慮してカイロなどを持参しておくと安心です。

「本来の力をどこまで引き出せるか」が鍵になる

書写検定は自運による一発勝負ということもあり、心理的な面で特別な緊張感を強いられます。この緊張感については、集中力の持続によって徐々に治まってきますが、いつもと違う環境下で書字する身体的な違和感は、試験終了まで抜け切らないままでした。

それは例えば、

  • 机の高さに対する違和感。
  • 用紙との距離感が普段と違う。
  • 答案用紙を満足に広げられない机の狭さ。

これらの「書きづらい」と感じる要因は、パフォーマンスの低下にわずかながら影響します。特に、通信教育生は落ち着いて集中できる自分だけの書字環境を築き上げているでしょうから、その環境に慣れてしまったが故に他の場所だと書きづらく感じるのは、意外な盲点かもしれません。

場所を問わず美しい字が書けることは、書写検定の意義にも含まれています。いかなるシチュエーションにおいても気を抜かずに書字できる意識の有り様は、実生活だけでなく書写検定の結果にも良い作用をもたらすはずです。

3級といえども侮りがたしで、色々と気付かされることが多かった試験でした。

3級は、とにかく時間が足りない

硬筆書写検定3級の試験時間は、60分です。

60分の制限時間に対して、問題は10問。予め答案時間の目安を定めておくと、時間に追われず答案できます。

3級 答案時間の目安

第1問 速書き
5分間(黙読1分、答案4分)
第2問 楷書と行書
6分
第3問 タテ書き
8分
第4問 ヨコ書き
10分
第5問 はがきの表書き
8分
第6問 掲示文
10分
第7~10問 理論問題
8分

残り時間5分を見直しや下書き線を消す時間にあてるとしたら、このような時間配分になるかと思います(あくまで目安です)。

3級 答案する順序の一例

  • 第1問 速書き
  • 第7~10問 理論問題
  • 第6問 掲示文
  • 第2問 楷書と行書
  • 第3問 タテ書き
  • 第4問 ヨコ書き
  • 第5問 はがきの表書き

第1問の速書きは試験開始直後に答案する手はずになっています。速書き問題が終わり次第、その答案用紙を試験官が回収しに来ますので、集中力を乱されたくない人は、第1問から理論問題へ移ってください。

理論問題を答え終わる頃には、過度の緊張もそれなりに収まっているでしょうから、そこからは好きな順序で問題を答案します。掲示文の問題は、インクが乾かないうちに消しゴムを使って下書き線を消すと用紙が汚れますので、余裕を持って早めに答案しておきたいところです。

上に示した通り、各問に費やせる時間はかなりシビアです。理論問題のうち、残りひとつが分からないからといって、悩んでいる時間はほぼ皆無ですので、全てを書き終えたあとに答案するなどしてください。

下書き線の可否について

私が受けた試験会場では、答案用紙に下書き線を書き込むのは原則として「第6問の掲示文以外は禁止」ということでした。

「ただし、提出する際には下書きの痕跡が分からないようにしてください。これは他の問題についても同様です」といったことを遠回しに表現されていました。

つまり、実技の答案用紙に下書きしても特に問題はないということでした(文字の下書きや丸を書き込むのは禁止とのこと)。

その場合、答案用紙に下書き線を直接書き入れるのもいいですが、硬筆書写検定3級は1分1秒が惜しい時間との戦いでもありますから、「効率よく書き上げるための下準備」を用いると、消しゴムを使う時間が短時間で済みます。

時間的・精神的な余裕は、清書の完成度を間違いなく高めます。自分に適した効率的な答案方法を見つけ出しておくのもひとつの手です。