ペン習字を習ったことがない人でも硬筆書写検定3級に合格できる学習方法を紹介します。
- このページ 3行まとめ
- 字が上手くなる仕組みに沿った「A → B 学習法」とは、
- 一字ずつ丁寧に書く書写の練習「Aプラン」を行ったあとに
- 文書として美しく書く練習「Bプラン」を行う書字の上達法です。
仕事や育児に追われていると、決まった日時に予定を空けておくそんな当たり前なことすら難しく、「いつか余裕が出来たら」とは思うものの、教室との接点を持てぬまま月日だけが流れていくんですよね…。
私の場合、郊外の片田舎に住んでいる関係で、硬筆をイチから丁寧に教えてくださる教室がまず見つからず、仕事終わりに通える条件も加えると、教室通いは諦めるしかないという状況でした(かといって、書道教室では学びたいことが一致せず…)。
なので、考えました。自宅に居ながらにして無理なく"日常筆記"が上手くなる方法を。
私が提案する書字の上達法は、「硬筆の資格」と「美文字」を同時に取得するやり方です。
これは「硬筆書写検定3級受験に向けて、どんな練習や下準備が必要になるのか」諸々の悩みを解決する学習の流れ図です。
この図が何を意味するのか、最後までやり遂げるコツを踏まえながら、順を追って説明していきますね。
ゴール地点を「3級合格」としている理由
名実ともに「使える資格」となる点が一番の理由でしょうか。
- 国が後援している検定試験なので、取得した級位は履歴書の公的資格欄に記入できる。
- 試験の答案は、日常筆記を想定した自運(手本なしで書く)形式となっている。
5級から1級まで6段階ある難易度の中で3級は、一般教養レベルに相当し、検定対策を通してここぞというときの手書きシーンで成果を発揮できます。1
右側の失敗ケースは、管理人の過去の姿でもあるのですが、どんなに良い教材を揃えたとしても、「明確な締切」や「学習計画」がないと、途中でダレてしまったときに軌道修正が効かないんですよね。
このような中だるみを防ぐには、具体的なゴール地点を設定するのが一番です。
有識者が丹念に作成した「検定」を上手く利用すれば、硬筆の技術が過不足なく身につくことは確かですし、何かひとつ目標を定めて一気に駆け抜ける意味合いも込めて「3級合格」を主眼に置きました。
「やるべきことを明確にした上で期限付きで実行する」その一環として硬筆書写検定3級をモチベ維持の材料にしています。
この検定の概要について知りたい方は、別記事をご覧ください。
関連 練習の成果を資格として残せる「硬筆書写検定」について説明します
硬筆書写検定3級に必要な技量と知識
3級試験では、義務教育で習った範囲内の漢字知識が求められます。
理論問題は参考書を使って、中学3年生までに習った漢字の知識をおさらいする形で対応できますが、手書きが苦手な人にとって関門となるのは、やはり実技ですね。
検定対策を通して字は上手くなるとはいえども、過去問に取り組むだけでその効果が表れる人は少数派のように思います。
「一体どうすれば字が上手くなるのか」
「ひらがな」から「アラビア数字」に至るまで、総合的な書字力が上達する正攻法は、書写の基本を学ぶコトです。手本の書写訓練を重ねるうちに美しく整った字の書き方が徐々に分かるようになります。
(平成27年度板『硬筆書写技能検定の手びきと問題集』p101 より 3級の合格答案例)
これは、実際に3級に合格した人の答案例で、ペン習字を学ばれた形跡がうかがえます。
- 「漢字」と「ひらがな」同士の字粒が揃っている
- 上下に行がうねっておらず、読みやすい書き方を意識している など
もともと書ける人にとっての3級とは、大して難しくない試験のように感じるかもしれません。
だからこそ、これから字が上手くなりたいと願っている人にとっては、練習の成果を発揮する場としてふさわしく、しっかり地力をつければ確実に合格できる試験となっています。
どのくらい書けるかによって学習ルートが変わります
冒頭で紹介した学習プランは、2段ステップによる「行動」と「心構え」で書字の上達を目指す流れになっており、それを分かりやすく示したのが、以下の図です。
Aプランで硬筆の基礎を身につけ、Bプランで実践応用という流れです。
- Aプランの概要
- 書き方の基本をイチから学ぶ基礎固めのプラン
- ペン習字を習うことで、書写技術、文字の美的センスを高めます。
- Bプランの概要
- 日常筆記を想定した実践応用プラン
- 身につけた書写技術を手本なしで書く力に転換します。
このような字が上手くなる仕組みに基づいた行動を取ることで日常生活でも美文字が書けるようになります。
「私には持って生まれたセンスがないから…」と諦めかけている人は、「Aプラン」から始めてみてください。
一字ずつ丁寧に練習する段階から始めることで、無理なく着実に書字が上達します。
硬筆書写検定3級に対応した通信講座【大人向けやり直し勉強術】
美しい手本を目に焼き付け、再現する練習(下地作り)が「Aプラン」の目的です。この上達法を実践すると、伝統美を伴った自分らしい書きぶりがやがて身につきます。
たとえば、こんな経験をしたことはありませんか。
- 「あなたはね、もう少し丁寧に字を書いた方がいいと思うよ」とやんわり指摘されたことがある。
- わたしの中では丁寧に書いているつもりなんだけど、なぜか粗雑な字になってしまう。
- 人前で字を書くことに抵抗感があり、その原因も薄々と自覚している。
手書きにまつわる苦い経験がある人は、Aプラン → Bプラン へ進むルートが順当です。
例外として「模倣する力がずば抜けて高い人」は、参考書で過去問を解く「Bプラン」に一足飛びしても書字の上達は可能かと思います。
自分が一体どのくらい書けるのかを知るにあたっては、以下の書写力簡易テストで判断できますのでご利用ください。
書写力の簡易テスト【真似して書いてみてください】
あなたの書写力(硬筆の下地)を確かめるためのちょっとしたテストを行います。
身の回りにある紙とペンを用意した上で次の文字を書写してみてください。
──どうですか。上手く書けましたか。
5~10分程度の練習でこのくらい手本の型に寄せて書ける人は、検定の過去問に取り組むだけで書字が上達していくことでしょう。一足飛びで「Bプラン - 検定対策に役立つテキストを揃える」ところから始めても大丈夫です。
硬筆書写検定3級に合格できる勉強計画の立て方【一発合格する方法】
「思い通りに書けなかった…」「真似するだけなのに難しすぎる」と感じた人、落ち込む必要は全くないですからね。
ここで感じる書けないもどかしさの理由は主に2つ、
- 指先を思い通りに動かせないから(手が未熟)
- 字形の特徴を捉える観察力が不十分なため(目が未熟)
これら「手」と「目」に関する身体能力は、イチからペン習字の基本を学ぶ「Aプラン」で改善できます。
まずは、一字ずつ丁寧に練習していく段階から始めていきましょう。
硬筆書写検定3級に対応した通信講座【大人向けやり直し勉強術】
まとめ 3級合格を見据えた「本気で字が上手くなりたい人のための練習方法」です
ここまでの説明で、冒頭の図解「硬筆書写検定3級を独学で合格するための A → B 学習法」について概要を掴めたのではないかと思います。
ゴール地点となる硬筆書写検定3級の合格に向けて、「Aプラン」で書き方の基礎を学び、「Bプラン」で実践応用という学習の流れになっています。
- まずは、Aプラン
- 一字ずつ丁寧に書く練習を通して書写のやり方を習得したら、
- その後、Bプラン
- 文章を書く練習に移り、身につけた書写技術を自運の力に転換する。
※自運とは、手本なしで書く自己運筆のこと
これら2つのプランをやり遂げることで、付け焼き刃ではない流麗な書きぶりを暮らしの中で活かせるようになります。
その下地作りとして、6ヶ月ほどの練習期間は見積もってほしいところです。「いやいや、時間かかりすぎでしょ」と感じた人はごめんなさい。これ以上の確かな勉強法を管理人は思いつきません。
資格を取るだけの目的でしたら、3級合格に必要な勉強時間をもっと短縮できるのでしょうが、先々の問題として考えておきたいのは、筆力の維持なんですね。
身につけた「手書き力」は、実生活の中で活かしてこそ洗練されていきますので、その状態を作り上げるための期間としてせめて半年は頑張ってください。ここで費やした努力は、生涯にわたって役に立つはずです。
「じゃあ実際にどんな取り組みから始めればいいの?」については、書写検定に対応した通信講座の受講をオススメします。
関連 硬筆書写検定3級に対応した通信講座【大人向けやり直し勉強術】
関連記事で紹介している通信講座は、3級の実技対策ができる練習パッケージになっていますので、課題の提出を繰り返すうちに書き方の基本が身につきます。
お金をかけずに完全独学でやり抜く方法もありますが、字の上達に限っては、市販のペン字練習帳を手広くこなすよりは、使い勝手の良い教材を徹底的に使いつぶした方が効果的です。
その点で学ぶべき内容が体系的にまとまっている通信講座のテキストは、大きな助けになると思います。
次のページでは、硬筆書写検定3級の試験日から逆算した具体的な学習の流れについて説明していきます。
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- 2級以上に挑戦する場合、あまり目にする機会がない「書写体」や「旧字体」といった専門知識が必要となります。 [↩]