ペン習字の先生が使う筆記具の傾向を探る

ペン習字を始めるうえで気がかりになるのが、使用する筆記具選びです。

使い慣れたボールペンが良いのか、それとも万年筆のような割れペン系に挑戦するべきか。万全な準備で始めたいと思うほど些細な悩みが噴出します。

ひとつ確信が持てるのは、「先生が使っている筆記具を選べば極端なハズレは引かない」ということ。

私が購読している競書誌『ペンの光』では、

  • ボールペン
  • デスクペン
  • 万年筆
  • つけペン
  • 筆ペン

いずれも使用でき、掲載される手本にはどんな筆記具を使ったかについての記載があります。

そこで、『ペンの光』 20ヶ月ほどをさかのぼって、使用された筆記具を調べみてみました。

手本執筆で多く使用された筆記具 日ペン編

参考筆記具を集計する

備考欄の参考筆記具を集計し、使用回数の多い順にランキング形式でまとめました。

それではどうぞ。

油性ボールペン部門 第1位 ~ 第3位

手本執筆でよく使用された油性ボールペン

ぺんてる / .eボール 0.7ミリ
田中 鳴舟先生(日ペン会長)が常用。
パイロット / BDE-15-TBB 0.7ミリ
複数の先生が使用。
パイロット / アクロボール 0.7ミリ
複数の先生が使用。

0.7ミリを使用した油性ボールペンが9割を占める結果となりました。「やや太めの字幅の方が文字の見栄えが良くなる」といった理由からでしょうか。

低粘度インクの代表格であるジェットストリームはひとつも集計されない一方で、アクロボールが上位に食い込むあたり、滑らかな書き味への許容範囲を物語っているようで興味深いです[1]

油性ボールペンはただでさえペン先が自走しやすいです。低粘度インクによって筆記抵抗がさらに軽減してしまうと、ペン習字のような慎重に書く場面ではアドバンテージを欠くように感じます。

個人的にはヌタヌタしたやや重い書き味が好みですが、ボテやカスレが出やすいのが難点です。この手のペンを難なく扱える人を尊敬します。

ゲルインクボールペン部門 第1位 ~ 第3位

手本執筆でよく使用されたゲルインクボールペン

パイロット / ハイテックC 0.4ミリ
複数の先生が常用。
パイロット / ハイテックCカヴァリエ 0.4ミリ
複数の先生が使用。
三菱鉛筆 / ユニボールシグノ 0.38ミリ
複数の先生が使用。

1位と2位は僅差でした。いずれもニードルチップです。

同様に、3位「ユニボールシグノ 0.38ミリ」と4位「ぺんてる / スリッチ 0.3 , 0.4ミリ」も僅かな差でした。

上位に挙がっているのは、芯の細いペンがほとんどです。ゲルインクはインクフローが良いため、シグノ0.38ミリと油性0.7ミリがほぼ同じ太さになります。

水性ボールペンは8本ほど集計しましたが、いずれも品名が記載されていなかったのでスルーしました。こちらも0.3~0.4ミリが使われています。

デスクペン部門 第1位 ~ 第3位

手本執筆でよく使用されたデスクペン

セーラー / デスクペン
プラチナ / デスクペン
パイロット / デスクペン

品名、字幅の記載がなく、メーカー別に集計しました。

唯一分かった品名が「セーラーデスクペン F-9 EF」だったのですがどうも廃盤らしく、現行盤はニブに「F-4」と刻印されいます。セーラー万年筆「ハイエース・ネオ」と同じタイプのニブです。

入手困難となったセーラーの廃盤デスクペンは、そんなに使い勝手が良いのでしょうか。気になるところです。

つけペン ペン先部門 第1位 ~ 第3位

手本執筆でよく使用されたつけペン ペン先

ゼブラ / タマペン No.120
複数の先生が常用。
日光 / ポイントハード No.360
田中 鳴舟先生が常用。
タチカワ / 日本字ペン No.44
複数の先生が使用。

1位の「ゼブラ / タマペン No.120」は、弾力がやや固めのペン先です。

ランク外となったペン先では、「日光 / 日本字ペン」 「タチカワ / T-600 クローム」をひとつずつ集計。上位ランクのペン先に偏りが見られる結果となりました。

ペン先に関しては、人から勧められたものが必ずしも合うわけではないので、3本入り300円程度のペン先を各種そろえて書き比べるのが得策かと思います(バラ売りしているお店もあります)。

私も同じように選定していったのですが、使い方が悪いのかどれもしっくり来るペン先に出会えず、最後まで残しておいた「ゼブラ / タマペン No.120」でようやく「これならやっていけそう」といった安堵感を持てました。相性差が出やすい文房具です。

つけペンは慣れるまでが苦労します。管理面においても、ボールペンのようにキャップを閉めておしまい、とはいかないので初学者にとっては敷居が高い筆記具かもしれません。

割れペン系の特徴を掴むなら、「入門用万年筆」もしくは「デスクペン」から始めてみるのが適しています。

関連記事)子供目線の作りだから使いやすい 入門用万年筆「カクノ」の魅力

筆ペン部門 第1位 ~ 第3位

手本執筆でよく使用された筆ペン

ぺんてる / 墨液ぺんてる筆 中字 XFP6L
田中 鳴舟先生が常用。
ぺんてる / ぺんてる筆 中字 XFL2L
田尻 清峰先生が常用。
呉竹 / 墨液くれ竹筆 中字 22号
田尻 清峰先生が常用。

1位と2位の違いは、インク成分が「顔料」か「染料」の違いです。耐水性が高いのが「顔料」、そうでないのが「染料」といった性質があります。

4位の「ぺんてる / つみ穂」は、筆先のコシ(弾力)に優れ、筆ペンが不慣れな人に適しています。

集計して分かったこと まとめ

集計したデータの3分の1が、品名まで分からない簡単な記載に留まっていたのが残念でした。それでも次のようなボールペンがよく使用されていることが分かりました。

  • 油性ボールペンは 0.7ミリが好まれている。
  • ゲルインクボールペンは 0.4ミリが好まれている。
  • 低粘度に寄り過ぎた油性ボールペンは好まれない模様。

日ペンの清書用紙は比較的にじみやすく、そのことを反映してか、つけペンによる手本が最も多い傾向にあります。万年筆が使用された手本も一部ありましたが、全体の中では極少数です。

他のペン習字団体ではどんな筆記具が好まれているのでしょうか。また違った傾向がうかがえそうです。

ちなみに、とある文具の人気投票では

今年で4回目を迎える、お気に入りのボールペンを選抜する投票では、3年連続でジェットストリームが筆箱のセンターに君臨しています。

OKB 48 (お気に入りボールペン48) 総選挙

第1回総選挙 第2回総選挙 第3回総選挙
第1位 ジェットストリーム ジェットストリーム ジェットストリーム
第2位 フリクションボールノック ユニボール シグノ ユニボール シグノ
第3位 ハイテックC ノック式エナージェル ノック式エナージェル

「滑らかで、黒が濃く、速乾性」を持ち合わせた書き味が、今の時代は支持されるようです。

  1. 低粘度油性インクは、 ビクーニャ > ジェットストリーム > アクロボール の順に書き味が滑らか []
スポンサーリンク

シェアボタンから、この記事の情報をおすそ分けできます