- 3行まとめ
- 最近の世論調査によると「手書きの習慣を大切にするべき」と答えた人は9割近く。
- その一方で「手書きをする機会がない」と答える人は年々増加している傾向にある。
- 端正な字が書ける技術は、年を追うごとにその価値が高まっていくものと予想。
書く習慣が薄れるほど、手書きに対する意識は高まる?
文化庁が毎年行っている統計調査に「国語に関する世論調査」があります。
これは、世代によって解釈が異なる言葉遣いや読書の頻度を調べることで”日本語の今”が分かるもので、マスコミも度々取り上げている世論調査です。
過去の調査項目の中には、現代人の手書きに対する意識が見て取れる回答がありましたので、その一部を紹介します。
2015年の調査では、全国の16歳以上の男女、約3,500人に対して「文字を手書きする習慣をこれからの時代も大切にすべきであると思うか」と尋ねたところ、およそ9割の人が「大切にすべきであると思う」と答えました。
※平成24年度「国語に関する世論調査」の結果より
さらに掘り下げてみますと、「今後もなるべく手書きで手紙を書くようにすべきである」という項目では、電子メールやSNSサービスに馴染みのある若い世代ほど手書き文字を特別視している傾向があり、グラフ上では10~30代を中心に手書き習慣の見直しが進んでいます。
ただ、それとは裏腹に文字を手書きする機会については年々減っているようです。
「日常生活において、文字を手書きする機会があるか」についての調査では、3割弱の人が「手書きしない・ほとんどしない」と答えました。
2004年とそれから8年後(2012年)の比較調査においても、「手書きをする」と答えた人の割合は、それぞれ10%以上減少しており、手書きの習慣を大切に思う人が多くいる一方で、書く機会そのものは徐々に減っている現状が過去の世論調査によって浮き彫りになっています。
手書きに対する特別感は今後さらに高まるものと予想
私自身、習慣になっている手書きといえば、ほぼ日手帳でスケジュール管理をしているくらいなもので、人によってはこの手帳さえも Googleカレンダーやジョルテといったスマホアプリで代用できてしまうんですよね。
若者の手書き離れが進んでいるというよりは、世代を問わず、手書きするきっかけを自分から作らないと、さほど手間なくペーパーレス化できてしまう、そういう時代なのだと個人的には思っていて、特にスマホはその流れを加速させているなと。
スマホを使うと、ちょっとしたメモ書きならフリック入力の方が早く済む場合がありますし、写真を撮ってメモとする使い方、音声入力で文章が書けるなど、手書きの労力をことごとく解消できます。
「たまには時間をかけて手書きするのも悪くないよね」とアナログの良さが見直されるのは、便利なツールに浸かっているから生まれる発想ともいえるわけで、若い世代を中心に手書きをする気運が高まっているとはいえ、実際の行動に反映されているかどうかは定かではありません。
ただ一つ言えるのは、手書きに取って代わる手段が増えるほど、手書きならではの効力が引き立つことです。
「得意先へのお礼状」や「贈り物に添える一筆箋」といった感謝の気持ちを伝える場面では、手間暇をかけていることが”分かる”手書きの方が圧倒的に伝わります。
手書きをする習慣が薄れ、手書きを苦手とする人が多数派となっている今の世相では、月並みに字が上手いというだけでも様々な方面で役立つのではないかと考えます。