独学で筆ペンを学ぶのは難しい?
筆ペンを独習する上でいちばんの障害となるのは、筆の運び方がイマイチ分からず行き詰まってしまうことではないでしょうか。
私自身、筆ペンで書く際にまず知りたかったのは「どう動かしたらその線が書けるのか」という基本点画の書き方についてでした。
文字の骨格を理解しても肉付けの方法がどうにも分からず、締まりのない書字になってしまうのです。
書道教室に通う場合、先生の筆運びを何度も確認することで、
- 運筆のリズム
- 穂先の切り返し
- トメ・ハネ・ハライ
といった基本的な用筆を学び取れます。
一方、独学では書籍を利用した学習法が一般的です。模範となる所作は写真や図解が重要な情報源となります。
特に筆運びの解説について心を砕いた教本が独習者にとっては大きな助けとなり、このような初心者向けの筆ペン教本を利用すれば独学でも着実な上達を見込めるはず。
イチから筆ペンを学ぶにあたってどんな教本が役に立つのか、実際に探してみました。
書店で初心者向けの筆ペン教本を探してみると
筆ペンと共通項が多い書道関連の書籍にも目を向けたとき、小学生向けの「毛筆書写」をテーマとした教本が意外と参考になりました。
これらの教本は、トメ・ハネ・ハライといった基本的な用筆を分かりやすく説明しており、初めて毛筆を習う大人でも理解しやすい内容になっています。
中でも「穂先の通り道」を表した図解は、筆の動かし方を直感的にイメージしやすく、これは書道教室の先生も頻繁に用いる解説方法です。
そういえば、小学校の習字の教科書にもこのような図解が載っていた覚えがあります。
筆ペンを習う際もこのような「穂先の通り道」を踏まえた初心者向けの解説本があると、真似しやすく分かりやすいですよね。
「筆遣いの解説について重点を置いた筆ペン教本は?」といった視点で本を探したとき、『美文字を自在に 筆ペン練習帳』がもっともふさわしいように感じました。
筆圧の力加減が数字で分かる筆ペン教本
(放送内容をまとめた「解説本(左)」と「書き込み式練習帳(右)」が発売中)
NHKまる得マガジンの放送内容をまとめたテキスト1は、初めて筆ペンを習う人でも実践しやすいアドバイスが豊富に載っています。
- 筆ペンの持ち方
- 用筆の基本ルール
- 字形の整え方 など
基本的には、シリーズ2冊によって筆ペンの基礎が身につく内容になっていました。
(タテ画は45度の角度で入筆・終筆する筆遣いがポイント)
他の筆ペン教本にはない最大の特徴は、薄墨と朱墨を織り交ぜた筆法解説です。
筆の先端に朱墨を付けて線を引くことで、
- 穂先の先端がどこを通っているのか
- 筆圧の微妙な変化
といった、筆さばきの詳細な履歴が残るため、頭で理解しながら運筆できる真似しやすい手本となっています。
(基本用筆の中でいちばん難しい「右払い」)
毛筆タイプの筆具は、運筆にタテ(浮沈)の動きも加わるため、独学でそのコツを学び取るのは難しいのですが、上記のように筆圧の加減を数字でグラデーション化してあると、穂先の動かし方をイメージしやすいです。
教室に通って習うにしても、ここまで丁寧に教えてくれる先生は見つける方が難しいでしょうし、NHKの教育番組ならではの分かりやすい内容構成になっていました。
こちらの解説本は、フルカラー印刷で情報量が多く、文字に表情をつける「やわらか文字」「きっちり文字」を書くポイントが載っています。
書き込み式タイプの練習帳は、封筒の宛名書きや年賀状の表書きといった実用手本が載っています。
どちから一冊に絞るなら、筆ペンの基本用筆がすべて載っている後者の練習帳をオススメします。540円で筆ペンの基本を一通り学べるって何気にスゴいことだと思いませんか。
- 「NHKまる徳マガジン」2015年11月の放送分。 [↩]