これから始める「つけペン」入門 「インク」編

つけペンの使いづらさを補うための入門マニュアル、第3回目は「インク」の特性についてまとめます。

第1回
「ペン先」について
第2回
「ペン軸」について
第3回
「インク」について
第4回
「使い方のコツ」について

まえがき

私がこれまでに使い切ったインク瓶はせいぜい2つか3つといったところです。まだまだ経験が浅いため、ここから先の話はインクをアナログ画材として使っている絵描きさんの話も調べながらまとめています。

間違いや認識の違いがありましたらご指摘いただけると助かります。

第3回 「インク」について

インクには鮮度がある

インクの経年劣化は思っているより早いです。たとえ密閉してもインク成分である溶剤が徐々に分離し始めます。

いちどフタを開けて空気に触れたインクは、書き味を落とさないためにも、なるべく早めに使い切るようにします。

インクを小出しに使う方法

インクの劣化を遅らせる方法として一般的なのが、10ml程度の小さな容器にインクを小分けして使う方法です。

この方法なら、インク本体のフタを開けっ放しにしなくて済みますから「水分蒸発」や「ホコリの沈殿」を防げます。

インク瓶から小分け容器に移し替える際に便利なスポイト

私が小分け容器として使っているのは、ハンドクリームのサンプル容器です。「シリンジ」や「スポイト」を使ってインクを移し替えています[1]

皆さんいろいろ試行錯誤しているようで、他にも

  • ピルケース
  • 彩料ビン
  • 油壺(油彩用)
  • るつぼ
  • コンタクトレンズのケース
  • タミヤのスペアボトル(丸ビン)

といった容器を小分け用として使っていました。

特に模型用塗料を保管するタミヤの空き瓶は密閉性にすぐれています。

底が浅い容器だとインクを付けるのが楽になる

底の浅い小分け容器を使うことで、インクの付け足しが楽になる様子

化粧品のサンプル容器だとインクの水位が高すぎず、容器の底にペン先をトントンと当てるだけで丁度いい具合にインクが浸かります。瓶の開け口でインクを拭う必要がなく、ペン軸が汚れることもありません。

インクをこぼしてしまう心配

容器が小さいので気をつけないと、いつかこぼします。

小皿や灰皿の上に容器を置くなどして、さらに練り消しで土台を固めると不意な転倒を防止できます。

線の伸びが悪いと感じたら

つけペンの使用中は容器のフタが開いたままなので、徐々に水分が蒸発し、インクが濃くなります。その際には、わずかに水を足すとインクの粘度が下がり、書き味が元に戻ります。

私の場合、インクの下りが悪いと感じたらそのたびに水を差し、いよいよ線が薄いと感じた時点でそれまでのインクを捨てて新しく補充するようにしています[2]。インク濃度を調整する際は、「シリンジ」や「スポイト」、「つる首ポンプ」などを使うと便利です。

実際のところ、水で薄めていいのかは分かりませんが、少量のインクですから雑菌が繁殖して腐る前に使い切れます。また、書き味の目立った変化は感じませんでした。

一手間さえ惜しまなければ、気持ちよく使える

インクに浸したペン先を瓶のフチで拭うと、いつしか固形カスとなってインク表面を漂うようになります。インク瓶は消耗品の割になかなか減らないので、最後まで気持ちよく使い切るためにもインクを小分けにして使う方法をオススメします。


ここまでインクの劣化を抑えつつ、つけペンを手軽に使う方法を紹介しました。

次はそれぞれのインクの特性についてまとめます。

ペン習字でよく使われるインクとその特徴

にじみの少ないペン習字向きのインク(顔料系)をいくつか紹介します。

開明墨汁

開明墨汁の容器

「適度な光沢」と「線の伸び」を両立した墨汁です。黒々とした線によって作品の見映えが良くなります。

私が初めて使ったインクは「開明墨汁」でした。たしかに使い始めはサラサラと書きやすかったのですが、しばらくすると墨汁ならではのトロミが出始め、線の伸びが悪いように感じました。ちょいちょい水を差しながら使い切った憶えがあります。

調べてみると、開明墨汁は動物性タンパク質であるニカワを含んでいるため他のインクより腐敗しやすいようです。また、ニカワが固まらないように塩化カルシウムを配合しているので、使用後はよく洗わないとペン先が錆びます。

当初、ペン先は徐々に錆びるものとばかり思い込んでいましたが、これは開明墨汁の成分によるものでした。使い終わる際は、アルコールを含ませたティッシュなどで拭っておくと、錆の発生を予防できます。

また、同じ開明製品として「墨の華」があります。こちらは樹脂系の墨汁です。錆びません。開明墨汁より乾きが早く、細い線も引けるとあって画材として一定の需要があります。

パイロット / 製図用インク

製図用インクの容器

パイロットの「製図用インク」は、開明墨汁より発色がやや劣るものの、線の伸びがよく、インクの乾きが早い特徴があります。

私は作業のしやすさを重視して製図用インクを主に使っています。書いた文字は数分以内には確実に乾くので、パイロットの製図用を使い出してからはインク汚れによる事故が極端に減りました。

ただ、インクの乾きが早い分、ペン先に付けたインクの状態も刻一刻と変化します。インクをこまめに付け直すか、拭き取るかしないと書き出しで線がカスレやすくなります。

製図用インクは発色が薄いという口コミについては、私は特に気になりませんでした。

パイロット インキ製図用30ml

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セーラー万年筆 / 極黒

極黒の容器

「耐水性」「耐光性」に優れ、万年筆用としても使える顔料インクです。

水分が飛ぶと固まる顔料の特徴は抑えているものの、手入れを怠るとやはり目詰りします。使用後はインクをよく拭き取るようにします。

発色は、際立つ黒とまではいかず、ほどほどな黒色でした。極黒はまだ使い始めたばかりなので線の伸びは良いです。これからどう変化するかは後日、追記します。

ニカワ成分は含んでおらず、開明墨汁より劣化は遅いと思います。

つけペンが上手な人は、インクの状態管理も出来ている

つけペンは、「ペン先」「ペン軸」「インク」が三位一体となって使いやすさを実現する、手間のかかる筆記具です。

特に使い始めは、線のかすれに悩まされることが多く、ペン先の扱いにようやく慣れてきた頃に、今度は時間差でインクが濃くなって線がかすれ、振り出しに戻ったかのような感覚に陥ります。

インクのコンディションにさえ気を配っておけば、上手く書けない原因は「ペン先の状態」もしくは「書き方」の2つに集約できます。


最終回は、書き方のコツや疑問について一問一答形式で解説していきます。

  1. スポイトを使ってインクを移し替える際は、含んだインクを出し切る直線の飛沫に注意してください。 []
  2. 小分けしたインク容器もフタの開け閉めを繰り返すうちに固形カスがこびりつくため、インク交換時には容器を丸洗いするようにしています。 []
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コメント

  1. はるおさる より:

    パイロットペン習字と日ペンで迷いましたが、日ペンの総合ペン習字講座を始めたいなと思っています。
    硬筆書写検定2級も目指したいのと、添削やテキストが丁寧そうなので。
    ただ、総合ペン習字は、特別奨励金制度はないっぽいですね。金銭的に迷ってしまいます。。

  2. uta より:

    近場に教室がない、独学では手応えがない、となると自ずと通信講座が選択に入ってきますが、そうは言っても受講料も安くないですし、いろいろ迷いますよね。

    総合ペン習字のテキストを確認していないので何とも言えませんが
    講座を修了して硬筆書写検定2級レベルの実力が身につくとしたら、
    願ったり叶ったりの方法だと思います。

    ただ、過去にいただいたコメントを拝見すると、
    再スタートの地点で長いあいだ悩まれているようにお見受けしますので、
    まずは好きな手本を真似て楽しむところから始めてみてはいかがでしょうか。

    書写検定2級合格は、きれいな字を書くうえで最適な目標設定だと私も思います。

    長い道のりを踏破するためにも、リハビリがてらにお好きなペン習字練習帳を1冊えらんで、楽しみながら取り組めたらひとつの自信に繋がりますし、練習帳を最後までやり切ったら、また次の一歩を踏み出しやすくなると思います。
    (既に練習されているようでしたらごめんなさい)

  3. はるおさる より:

    ありがとうございます。
    そうなんです。
    再スタートしたくて、資料を取り寄せていて、二人目出産もあり、タイミングを逃していました。
    本屋さんの本で練習しているのですが(たまにですが)、そろそろ通信で始められるかなと。。
    自分の字に自身がもてるようになりたいです。
    リハビリがてら、たまに→できるだけ毎日、練習しようと思います。子供が大きくなったら、自身をもって硬筆を教えられたらなと思います。

  4. はるおさる より:

    先ほどの文章の中で、「自身」 じゃなく、正しくは「自信」のまちがいでした。
    二箇所も。。汗
    申し訳ありません。

  5. uta より:

    しっかり伝わっていますから大丈夫ですよ。

    するとおそらく、練習の密度を濃くしたいという意味でも
    次のステップが必要な段階なのでしょうね。

    候補としている通信講座はいくつかピックアップしているけれど、
    どれも決め手に欠けるため、踏ん切りが付かないといったところでしょうか。

    「子供がきれいな字を書けるように教えてあげたい」という
    明確な目標をお持ちですからどの講座を選んでも修了できるかとは思いますが、
    やはり好きな手本でないと練習するのが何かと苦痛なものです。

    まずは、ご自身がどんな字を書きたいのかという原点に立ち返って、
    相性が良さそうな手本を選ぶところから始めてみてください。
    講座システムの特徴で比較してしまうと、どうしても悩みが尽きないものです。

    個人的には、通信講座は「やることリストが詰まったパッケージ」として
    捉えるくらいが丁度いいと思っています。
    目の前の一番大事なことをやるだけでいいので、練習の習慣が身につきます。
    たったそれだけですが、毎日少しずつ取り組める習慣は、
    字が上手くなる上で欠かせない条件です。

    書写検定2級の取得については、
    ペン習字の基礎が身につくにつれて自然と視野に入ってきますから、
    ゆくゆくは挑戦という流れでよろしいかと思います。

    ちょっとした練習の繰り返しで
    自分の字に自信が持てるようになるのもそう遠くないはずです。

    長くなりましたが、まずは「好きな手本を選び出す作業」が
    再スタートの第一歩目になるかと思います。

    ちなみに、興味を持たれている日ペンは、形臨(手本の字形を真似ること)を重視した方向で添削してもらえますから、総じて初心者向きの通信講座です。

    新年の始まりに合わせてペン習字が軌道に乗るといいですね。
    応援しております。

  6. はるおさる より:

    ありがとうございます。
    優柔不断で自分が嫌になります。自分の字にもそれが現れてて、全く自信が持てないんです。

    「自身がどんな字を書きたいのかという原点に立ち返って、相性が良さそうな手本を選ぶところから」本当にそうですね。
    2級は、ゆくゆくは挑戦ということにして、まずは好きな文字のお手本選びの原点にかえってみます。そうすれば見えてきそうです。
    今年こそは、たくさん練習したいですし、ペン字を始めた頃のように、肩の力を抜いて楽しめたらと思います。

    まとまりのない文章に返信して頂き、本当にありがとうございます。