自宅でペン習字を習う人のための道順案内

きれいな字はその人の信用力につながる

心正しければ(すなわち)筆正し

「用筆は心にあり、心正しければ(すなわち)筆正し」 とは、中国唐時代の書家、りゅう公権こうけん が残した言葉です。

漢字文化圏で暮らす私たちにとって、書かれた文字と人柄を結びつける考え方は古くから根付いており、それが転じて今では「書は人なり」などと言われたりします。

「書かれた文字は、その人の写し鏡」

それほどまでに、人の書字から受け取る情報量は多く、無意識のうちに品格や教養までを感じ取ってしまうきらいがあります。

そのため、相手がどんな人柄なのかまだよく分からない場面では、筆跡も第一印象として注目されやすく、きれいな字は読み手の関心を引く一要素になります。

手書きを苦手と感じる人は意外と多い

筆記具メーカーのゼブラが行なったアンケート調査によると、10代~60代の男女計1,300人のうち、88%の人が「文字や絵を書く際に、上手く書けないなどの苦手意識がある」と回答しました。

棒グラフ [手書きが苦手が原因は何ですか?]

手書きに関する意識調査(2014) ゼブラ株式会社より

特に「字を上手く書けない」ことを理由とした項目(65%)が突出しており、パソコンやスマホによる文字入力によって、手書きの習慣は今後ますます希薄化していくことが予想されます。

ここぞというときの手書きが注目される時代

たとえ手書きの習慣が薄れても、慣習としての手書きは残り続けます。

  • 婚礼や葬儀の受付で自分の名前を書く
  • 子どもの持ち物(名札や上靴)に名前を書く
  • お世話になった目上の人へお礼状を書く など

丁寧な筆記が求められる場面では、その多くが人に読まれることを想定しています。

手書きに取って代わる手段が増えたとしても、書字に対する苦手意識を完全に拭い去るのは難しく、そんな世相を反映してか、最近では「美文字」と冠したペン字練習帳が続々と出版されています。

何となく手本を真似るその前に

書字上達に関する教本は一部を除き、どれも完成度が高いです。

書店の一角にあるペン字教本は、内容が平易で分かりやすく、すぐに実践できる点にも配慮しており、最近では、トレーニングブックの形式を成した本も多く見かけます。

ところが、最後までくじけず実践できた人は必ずしも多くはいないようで、気付いてみれば「すぐに上手くなる──」「○週間で必ず上達──」と題した書籍が何冊も手元にあるといったケースも…。

このような失敗を経験して初めて、これから登ろうとする山が実は険しかったと気付く人も多いのではないでしょうか。

さらに問題となるのは、目の前の道が見えているにも関わらず、その道が一体どこに繋がっているのか実はよく分かっていない、けれど進むしかない、といった“全体像の見えなさ”です。

自分がどこを歩いているのか分からない不安は、学習意欲の低下にも繋がります。

たまたま見つけた登れそうな山に足を踏み入れる前に、まずは学ぶ目的をきちんと設定した上で、自分に合った学習コースを見つけてみませんか。

「自分はどんな字を書いてみたいのか」この一つの問いかけを掘り下げるだけでも焦点はずいぶんと定まりますし、その先の足取りも軽くなります。

きれいな字を書くための下準備をしよう

これからお伝えするのは、かつての私が知りたかった、きれいな字を書くための手段に関する情報です。

これまでの経験則を凝縮して15分程度で読み切れるミニ冊子風にまとめ直しました。

  • クセ字を直したいが、何から始めたらいいのか分からない。
  • どんな練習法が有効なのか、自分に合った方法を知りたい。 など

主に入り口の段階でつまづいている人を想定し、全4ページに渡る内容は、およそ次のような流れになっています。

「きれいな字の求め方」シラバス

美文字を目指す経路はたくさんあります。

相応の時間をかけて地道に習うルートがあれば、短期間で字が上手くなる抜け道にも似たルートがあったりと、費やす時間と目的によって適した練習法を選べる、というくらいまでには、字が上手くなる仕組みは解明されています。

そのため、すべての人が数稽古を前提とした従来の練習法に倣う必要はなく、まずは即効性のある練習法で目先の悩みを解消して、そのあとゆったりとした気持ちで腰を据えて学ぶといった段階的な取り組みも可能です。

ひとまずのゴールとして設定しているのは、ペン習字の基礎技術の習得です。ここでいう”基礎”とは、書写の基本を身に付けることにあたります。

字形の特徴を捉え、再現する力は、あらゆる書字ジャンルにおいて欠かすことのできない基底能力でもあり、精密に書写する力が備わっていれば、実務的・個性的な書きぶりを目指すにしても、わずかな刺激を与えるだけでモノにしやすくなります。

ペン習字は、手書きによる読みやすさを向上させる習い事です。

  • 親しい人への贈り物には率先して一筆箋を添えるようになった。
  • 急に頼まれた熨斗書きにも引け目を感じることがなくなった。

あらゆる筆記場面をそつなくこなせるようになれば、それはもはや一つの長所であり、書くことがますます楽しくなります。

この先のページが書字上達のきっかけになりますことを願っています。

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2つに分かれるペン習字の上達ルート
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