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これからペン字を始める人のスタートガイド

そろそろ、これさえ読んでおけば大丈夫的な過去記事の総まとめがあってもいいかなと。そこで今回は、ペン字に興味を持っている人に向けたスタートガイドを考えてみました。

何から揃える?まずは3点セット

教本と紙、ペンさえあれば、とりあえずの環境が整ってしまう手軽さがペン字の魅力です。少なくとも必要となるアイテムの中でも使い良いモノを挙げておきます。

1.デスクペン DPP-100-B-EF

デスクペン DPP-100-B-EF

定価1,050円。

デスクペンとは、万年筆から装飾や携行性を取り払った卓上での使用を重視した筆記具です。ボールペンと比べて筆圧が低く抑えられる利点があり、ペンの自重だけでスラスラと書けます。

ペン先はEFがおすすめ。EFとは「極細のペン先」を意味します。その繊細な線を味方につけてしまえば、どんな太さのペン先でも自由に扱えるはずです。

PILOTのDPP-100はペン字用につくられたデスクペンでもあり、本格的な万年筆を購入する前の一本として持って欲しい、コストパフォーマンスの高い筆記具です。

2.トップバリュ こくご 12マス

トップバリュ こくご 12マス

定価78円。

1字ずつの文字を書くときに使い勝手が良い練習帳で、十字リーダーが自分の字を客観視するのに役立ちます。書き味は同規格のジャポニカ(定価128円)と遜色ないため、こちらの方がお得です。使い始めと終わりの日付を記録しておくと、おおまかな練習ペースが掴めます。

もし無地の紙が必要になったときは、過去記事を参照してみてください。書き味の良い紙をいくつかピックアップしています。

関連エントリ)書き味の良い紙を探せっ

3.自分に合った手本

いつのまにか字が上手くなる本

手本選びの出発点は、自分はどんな字体が好きなのかを知ることから始まります。最寄りの大型書店に行くと、市販されているペン字教本の大半が揃っています。長期的に取り組むことを前提に考えると、通信教育もしくは通学に繋げられるような著者を選ぶといいかもしれません。その辺を踏まえると、

  • 鈴木啓水(ユーキャン)
  • 田中鳴舟(日ペン)
  • 山下静雨(ペン習字研修センター)
  • 岡田 崇花(55段階ボールペン字講座)

といった先生が候補に入ってきます。

通信教育での学習を視野に入れると字体の選択肢が多岐に渡る分、情報収集に戸惑うかもしれません。この辺については過去記事で言及していました。よかったら参照してみてください。

関連エントリ)3つの基準で見比べる、長続きする通信講座の選び方

ペンの持ち方次第で筆記が楽に

ペン字を習うとなると、ペンを持つ時間が圧倒的に増えます。書く作業を少しでも楽に、疲労を軽減するためにも持ち方の見直しを推奨します。持ち方を正すことで普段の筆記でも実利を体感できるでしょう。

関連エントリ)正しいペンの持ち方について調べてみた

手始めは六度法から

六度法とは、中国古典の「美しい楷書」に共通するポイントを分かりやすくまとめた字形整正技術のことです。「経験と勘に頼った練習法だけがキレイな字を目指す唯一の方法ではないよ」といった主旨で、

  • 右上がり六度に書く
  • 右下に重心を置く
  • 等間隔に書く

などのコツがあり、比較的簡単に習得できるのが特徴です。個人的にはペン字を始める際の最適な教材だと思ってます。

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練習の基本 – 4つの手順で1セット

練習する際、ただ闇雲に書き続けるのは、あまり効率の良い練習法とは言えないです。「いかに手本に似せて書くか」がペン字の土台ですから、少々面倒でも以下の手順を踏むと経験値が着実に溜まっていきます。

  1. (手本を)見る
  2. (手本を見ながら)書く
  3. (書いた字を手本と)見比べる
  4. (手本を見ながら)もう一度書く

見る、書く、見比べる、そしてもう一度書く。修正点を見つけながら少しずつ字を整えていきます。急がば回れ。地道な作業の連続が、上達への早道だったりするんですね。

上達を実感するまでにかかる期間

プラトー現象

理想としては、かけた時間の分だけ上達して欲しいものですが、実際はプラトー現象と呼ばれる停滞期が立ちはだかります。プラトーとは「高原」のこと。「さっぱり上手くならない」それは能力の限界ではなく、単なる停滞期であり、必ず乗り越えられる壁です。この時期をどう乗り切るかが諦める人とそうでない人の分かれ目となりそうです。

ペン字のなにがおもしろいって

自分の字をさながら育成ゲームのように育てる点にあるのではないでしょうか。プレイ時間が年単位でかかる上に攻略チャートが無限大にあるため、やり込み要素が満載です。

このゲームは、ネトゲやソーシャルゲームと違って「いい大人がみっともない」とか全く思われないし、高齢期でも無理なく続けられる点は長所であり魅力でしょう。

長く続けていると、たまに人の役に立ったり感謝されたり、褒められたり。数ある育成ゲームの中でも字を育てるというジャンルは、なかなかの良ゲーだと思うのです。

コメント

  1. nya より:

    初めまして。

    今回、被災されたことに心よりお見舞い申し上げます。一日も早く、以前の生活に戻られることを
    願っております。

    このたび、パイロットペン習字に入会いたしました。

    生来の悪筆で、少しでも人前で書けるようになりたいと通信教育を検討しておりました。
    実際にペン習字をやられておられる方のブログを参考にしようとしておりましたところ、このブログに出会い
    一通り拝読いたしました。ためになることばかりでした。
    おかげさまで漠然とペン習字を習いたいということから具体的なイメージが描け、とても参考になりました。
    通信教育を受けさえすれば楽してみるみる達筆になる(笑)。そういうノウハウがあるからあの値段という幻想も消え、コツコツとお稽古に励むという心構え的なものが少しは出来た気がします。

    パイロットは全くの初心者向けでないことも分かりました。
    字は上手になりたいのはもちろんですが、少しずつ上達できると良いと思い、長く続けられるメリットで
    入会を決めました。
    昨日、教材が届きまして一通り目を通しました。やはり第一印象は初心者にはレベルが高いなぁでした。

    長々のコメント、失礼致しました。
    これからも楽しみにしています。

  2. うたuta より:

    はじめまして。
    お心遣いをいただき、ありがとうございます。

    パイロットペン習字に入会されたのですね。同じ受講生としてよろしくお願いします。
    パイロットの教材は、初級、中級、上級に分かれているため、初学者向けの内容は少なく感じるかもしれません。
    ただ長い目でみると、ペン字に関する一渡りの教養が身につくので、nyaさんのような取り組み方でしたらそれほど大きな障害にはならないかと思います。
    事務局を通せば、系統ごとの副教材を紹介してくれるので、そちらも参照されると良いと思います。

    高額な教材であるほど画期的なノウハウと取違えがちですが、実際は添削指導の人件費や過剰な宣伝費が故の価格だったりするんですよね。
    字の上達云々は、当人の志が大きく影響すると思っています。
    その辺りの誤解を解くのが、当サイトの趣旨でもあるため、ありがたいコメントを頂戴いたしました。