私がこの習い事を始めた当初は、
「え、ペン字の手本ってユーキャンだけじゃなかったの?!」
そんな無知からのスタートでした。
「あの時きちんと調べておけば、自分に合った手本で練習できたのに…」
でも今は真逆の思いを抱えている人が多いようです。
欲しい情報をすぐに検索できる時代になったけれど、
「あまりにも選択肢が多すぎて1人では決めきれない」
今回はそんな悩みを持つ方から質問をいただいたのでお答えします。
効率の良い勉強法について教えてください
初めまして、菊池と申します。
うた様のペン字いんすとーるのサイトを拝見させていただき、大変詳細に書かれており参考にさせていただいております。
私は、出来るなら書道の師範でも取得したいなぁと思い、いろいろな書道団体(教育系)をネットで見て、芸術系も合わせると多くの書道団体があり、どれがいいのか悩んでおりました。
そこで、書道だけでなく、硬筆(ボールペン)と毛筆(筆ペン)も一緒に習った方がいいのかと思うようになりました。
今は、書道師範より、書写技能検定1級を目指したいと思うようになりました。(かなり難しいと思いますが…)
そこで、日ペン・ユーキャン・パイロット・ヒューマンアカデミーの4つの通信のパンフレットを取り寄せましたが、どれが自分に適しているのかまたまた悩んでおりました。
うた様のパイロットの系統のご説明も大変参考になり、狩田巻山先生のC系統の字が好きなのと、前田篤信先生の書体を用いた賞状技法士も見据えてヒューマンアカデミーがいいのかなと考えていたところです。
ただ、次のステップのことを考えますと日ペンも捨てがたいと思うようになりました。
また、唐様と和様についてのサイトを拝見しまして、三上秋果先生の書風もいいなぁと思うようになり、結局、迷いに迷っているところです。
今現在このような状況で、もし宜しければ書道の団体も併せて効率の良い勉強法について、うた様のアドバイスをいただければ幸いです。
宜しくお願い申し上げます。
読んだ限りでは「やりたいことが多すぎてイマイチ軸が定まっていない」と私は感じたのですが、
別途アンケートにも回答していただき現在の状況を整理したところ、↓のようなマインドマップになりました。
(画像クリックで拡大)
なるべく「効率よく」という言葉が印象に残ったので、
今回は「資格の取得(ゴール)から逆算した無駄のない学習方法」をテーマに回答していきます。
はじめにまとめ
こういう回答をしてしまうと身も蓋もないのですが、菊池さんの場合、
毛筆・硬筆書写検定1級の看板を掲げている教室に通うことが効率よく学べる最短ルートに相当します。
(この指導者証が目印です 引用元:wikipedia)
有名・無名に関わらずそのような先生に師事できれば、「書道師範」「毛筆・硬筆書写検定」「賞状書き」についての勉強法を漏れなく教えていただけるはずです。
とはいえ、都心部に住んでいる人でもない限り「一箇所で効率よく学ぶ」条件を満たすのはかなり厳しいです。
岩手県にお住まいとのことなので、現実的な話としては
- 毛筆書写検定は
- 近くの書道教室で用筆法を学びつつ、独自に対策を進めていく。
- 硬筆書写検定は
- 書写検定に準拠した競書誌を個人購読しつつ、対策を進める。
- 賞状書きは
- 書道教室で小筆を習いつつ、通信教材でノウハウを学ぶ。
このような勉強法に落ち着くのではないかと思います。
硬筆書写検定の対策なら私でも力になれそうなので、独学による攻略法を以下にまとめました。
硬筆書写検定 勉強の進め方
ゼロからのスタートで硬筆書写検定に取り組む大まかな流れとしては、
3級 → 2級 → 準1級 → 1級 と難易度順に合格していく進路が一般的です。
ですので、まずは3級から挑戦する場合、
- 3級の出題傾向(過去問)の把握
- 硬筆書写検定に準拠した競書課題で地力をつける
- セルフ模試を繰り返し、試験に備える
といった勉強スケジュールを組むことになります。
順に詳しく説明していきます。
1. 始まりは3級の出題例を知るところから
硬筆書写検定ではどんな知識や技術を必要とするのか、まずは「知る」ことが重要です。
↑検定協会の公式サイトから「出題例」と「模範答案例」を確認できます。
3級の難易度、試験時間、問題要項は次のとおりです。
じゃあ具体的にどんな練習をしておけばいいのか、というと
- 一字ずつ書く練習
- ひらがな・カタカナ・数字の書き方
- 楷書の書き方
- かんたんな行書の書き方
- ぜんぶで5つの書き方を習得する
- 文章を書く練習
- 字粒を揃える
- 字間を揃える
- 文字の中心を揃える
- 行頭・行末を揃える
- ぜんぶで4つの字配りを習得する
3級は「かんたんな行書」を自運で書けるかどうかが一つの関門になります。
※自運とは、手本なしで書く自己運筆のこと
他にも、
- 答案のコツを知りたいときは
- 『硬筆書写検定3級 合格のポイント』
- 受験者の合格答案例を知りたいときは
- 『硬筆書写技能検定の手びきと問題集』
参考書は必要に応じて揃えてください。
2. 競書課題に取り組み、書く力を引き上げる
検定に合格するにはなんと言っても日頃の練習が大切です。
練習の進め方が分からないときは、硬筆書写検定に準拠した競書誌を購読しましょう。
毎月の競書課題が検定の試験問題とリンクしているので、
- 競書課題の出品がそのまま試験対策となる
- 締切日があるおかげで半強制的に練習する習慣が身につく
- 昇級を重ねることで硬筆の師範資格を取得できる
といったメリットがあります。
硬筆書写検定に準拠している競書誌は次のとおりです。
※対策に力を入れていると思われる順に並べました
もっと基礎的な練習がしたい場合
「いきなり競書誌に挑戦するのは実力的に厳しい」という場合は、
「初心者向け通信講座」→「競書誌」といった学習の進め方もあります。
ペン習字 通信講座の比較表(完全版)から「硬筆書写検定に準拠」という基準で絞り込むと、
- 日本ペン習字研究会
- 日ペンのボールペン習字講座
この講座が該当します。
※三上秋果先生の手本で練習するならココ
講座修了後の次のステップは、
- 『ペンの光』の購読
- 「ペンの光はじめてキット」で添削付きの購読
といった進路が用意されており、
「一字ずつ書く練習」→「文章を書く練習」といった具合に練習内容が変化するので、無理なくステップアップしていけるはずです。
費用を安く抑えたい場合
もし「金銭的に少しでも安く」ということでしたら、
「パイロットペン習字通信講座」がオススメです。
※狩田巻山先生(C系統)の手本で練習するならココ
- 「添削課題」が書写検定の問題に準拠している
- 「昇級課題」の審査によって受験するタイミングが分かる
といった特徴があります。
ただ、初心者向け講座かと言われると
字典を使って手本を作成する作業が必須な点で向き不向きが分かれるところです。
3. セルフ模試で本番に備える
(一昔前の練習用紙です)
3級の試験時間は計70分。
時間配分を意識した予行練習をしておくと、受験当日でも慌てることなく答案できます。
「実物の試験問題」「同じ紙質の練習用紙」は、検定協会の公式サイトから入手可能です。
- 硬筆書写技能検定3級 【練習用紙】
- にじみやすいボールペン・フェルトペンを見分ける用途に
- 硬筆書写技能検定3級 【前回問題】
- 受験直前の総仕上げに
3級試験に合格したら → 2級編へ
次の受験タイミングに合わせて
- 2級の出題傾向(過去問)の把握
- 硬筆書写検定に準拠した競書課題で地力をつける
- セルフ模試を繰り返し、試験に備える
やるべきことは「3級編」とほとんど変わりありません。
難易度が上がるにつれて、より高度な技術や知識が要求されるため、
過去問を通して自分に足りない知識をその都度勉強し、競書誌課題で書く力を引き上げる、といった対策が基本になります。
独学での限界を感じるときは、
- 検定協会が主催する「合格のための講習会」に参加
といった過去問の答案を先生に添削していただく方法も検討してみてください。
毛筆書写検定はどうする?
>書道の団体も併せて効率の良い勉強法
とのことなので
合わせて回答したいところですが、私、書道に関してはさっぱりなので割愛させてください(すみません
教えていただいた毛筆書写検定に強い?競書誌を見た限りでは、
よく調べていらっしゃいますね。
他にもそのような競書誌があるのか逆に教えていただきたきたいくらいです(^^;
私も少し調べてみたんですけど、
書道の競書誌・団体は本当にたくさんあるんですね(これでも極一部に過ぎないという)
個人的には、
地元の書道用品店に置いてある競書誌の見本を比較しつつ、希望する習い方を店員さんに伝えてみたら、色々と親身に教えてくれるのではないかと思いますよ。
いい先生に巡り会えるといいですね。
ご質問ありがとうございました。
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