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初心者の人でも書きやすく感じる毛筆タイプの筆ペン【おすすめ3選】

試筆用の筆ペンがたくさん置いてある文具店は、一見便利そうに見えるものの、

  • 穂先のつぶれ
  • インクの掠れ
  • 中腰で試筆する書きづらさ など

あまり良いコンディションでないこともあり、結局どんな筆ペンが書きやすいのかよく分からないことが多いです。

どれを選べばいいのかよく分からなかった「ぺんてる筆」の商品カタログ

(筆ペンの商品カタログを参考にするも、どれを選べばいいのか)

そこで、筆ペン使用歴5年ほどの管理人がほぼ全種の筆ペンを書き比べた上で、初めての人でも扱いやすい筆ペンを選別してみました。

このページ 3行まとめ
毛筆が苦手な人は、穂先のコシが強い筆ペンを選ぶと書きやすく感じる。
初心者向けの筆ペンは「くれ竹万年毛筆 卓上(8号)」が最有力候補。
筆ペン上達を目指す人は「ぺんてる筆 つみ穂」から試してみてほしい。

前半は、書きやすい筆ペンの特徴について解説。

後半は、管理人が選んだ初心者向け筆ペンを紹介する流れになっています。

書道用具から学ぶ筆ペン選びのコツ

書道で用いる筆は、材料となる動物毛の種類によって書き味が変わり、主に次のような特徴があります。

初心者向け経験者向け
毛材料馬毛・イタチ毛山羊毛
穂先の特徴弾力・反発力が強い
穂先がまとまりやすい
毛の腰が柔らかい
粘りのある線が書ける
書体楷書向き行書・草書向き

小学3年生から習う習字の授業では、馬毛による筆を使用します。

穂先のコシが強い「剛毛筆」は、筆圧の加減をうまく調節できなくても、メリハリある字が書きやすい初心者向けの筆です。

同様に、筆ペンも「毛先がまとまりやすく、弾力が強め」のモノが初心者向けに該当し、加えて穂先が短いと、筆先のコントロール力が高まり、より書きやすく感じます。

この点を踏まえた上で、実際に筆ペンを比較してみます。

穂先の長さを比べたとき

毛筆タイプの筆ペン 穂先の長さ比較したとき

一般的には穂先が長いほど、太く大きな字を書けますが、筆圧による穂先の"しなり"も大きくなりがちで、毛筆に不慣れな人にとっては筆圧の加減が難しくなります

じゃあ、穂先が短い種類を選べばいいのかというと、一概にそうとも言えないところが筆ペン選びの難しさでもあり、個人的にはコシの強さが書きやすさの決め手になると考えています。

穂先のコシを比べたとき

毛筆タイプの筆ペン 穂先の弾力性を比較したとき

アマゾンレビューで絶賛されている「あかしや新毛筆」は、筆ペンの中では穂先のコシが弱い部類に入り、ちょっとした筆圧で線幅が変わる経験者向けの筆ペンのように私は感じました。

一方で、手紙用筆ペンの「COCOIRO 毛筆タイプ」は、穂先の弾力が強めで、毛筆に不慣れな人でも割りと書きやすく感じる筆ペンです。

このような「穂先の長さ」「コシの強さ」を基準に書き比べたとき、次のようなグラフが出来上がりました。

筆ペンのコシが分かる書き比べチャート(毛筆タイプ編)

下の画像は、測った穂先の長さをヨコ軸に、指先に伝わる穂先の反発力をタテ軸に記した、筆ペンの書き味の傾向が分かるグラフです。

毛筆タイプの筆ペン 書き比べチャート

(あくまで個人の筆記感による「傾向」を示したものです)

コピペ検索できるように、商品名、メーカー、品番の順で列挙しておきます。

※記事後半で紹介する商品名を赤字で表記

A:左上エリア <初心者向け筆ペン>
ZIG Letter pen COCOIRO リフィル 毛筆 呉竹 LP-RM-010S
くれ竹万年毛筆写経用(85号) 呉竹 DP150-85B
くれ竹万年毛筆 卓上(8号) 呉竹 DP150-8B
ぺんてる筆 極細 ぺんてる XFL2F
墨液くれ竹筆 極細(24号) 呉竹 DL152-24B

穂先が短くコシが強いAエリアは、初心者向け筆ペンの特徴を備えており、太い字幅を書く用途には適さないものの、穂先のコシが強く、角張った字が書ける楷書向きの筆ペンです。

B:右上エリア <各文具メーカーの主力商品>
新毛筆 中字 パイロット SN-50FDM-B
墨液くれ竹筆 中字(22号) 呉竹 DM150-22B
ぺんてる筆 つみ穂 ぺんてる XFL2U
くれ竹美文字 完美王 中字 呉竹 XO50-10S
ぺんてる筆 中字 ぺんてる XFL2L

Bエリアは、文具店でよく見かける有名どころの筆ペンが集まりました。ほどほどにコシがあり、穂先も長いので楷書・行書どちらも書きやすい特徴があります。

C:左下エリア
【本格毛筆】筆ぺん ダイソー 品番不明
ふで和み 本造り セーラー万年筆 27-5354-020
くれ竹万年毛筆 本毛 べっこう調 呉竹 DW140-50
くれ竹写経用筆ぺん毛筆かぶら90号 呉竹  DJ160-90S
あかしや新毛筆 あかしや SA-300
あかしや天然竹筆ペン あかしや AK2000MP
D:右下エリア
きらり毛筆タイプ ぺんてる XGFKPP-A
墨液ぺんてる筆 ぺんてる XFP-AD
墨液くれ竹筆 中太 呉竹  DK150-25B
ぺんてる筆 すき穂 ぺんてる XFL2V

C,Dエリアは、穂先のコシが柔らかい傾向にあり、初めて筆ペンに触れる人には適さないかもしれません。ただ、人によっては「ぺんてる筆【すき穂】」のような、芯を感じない筆ペンの方が書きやすく感じる場合もあります。

筆ペンという筆記具は、文具メーカーによって書き心地が一変し、たとえば「ぺんてる筆」独特の筆感に慣れてしまうと、他の筆ペンを受け付けなくなる症状に陥るほど、製品によって書き味がまるで異なります

ですので、これから筆ペン上達を目指す人は、特定メーカーの長期ユーザーになると同時に生産中止となる可能性が低い商品を優先的に選ぶ下準備も大切になってきます。

ロングヒット商品から選ぶ視点で初心者向け筆ペンを厳選すると、次の2本がふさわしいのではないかと思います。

管理人が選ぶ 初心者向けのおすすめ筆ペン

くれ竹万年毛筆 卓上(8号)

くれ竹万年毛筆 卓上(8号)

上記「書き比べチャート」のAエリアに属する穂先のコシが強い楷書向きの筆ペンです。

「くれ竹万年毛筆 8号」は、「毛先がまとまりやすく、弾力が強め。加えて穂先が短い」先述した初心者向け筆ペンの特徴を持ち合わせており、毛筆に対する苦手意識を和らげてくれます。

くれ竹万年毛筆 卓上(8号) 拡大

毛束が持つ反発力によって筆圧によるたわみが生じにくい反面、穂先が短い細筆ペンのため、太い字を書く場面はやや苦手です。

「くれ竹万年毛筆 8号」を使って祝儀袋に書いてみました。

くれ竹万年毛筆 卓上(8号)で書いた祝儀袋

やはり細字筆ペンだと、「御礼」の線幅がやや足りないようにも感じます。この場合、上書きが予め印刷してある慶長袋を準備しておくと、名入れだけで済みます。

本来は、お礼状や写経といった文字サイズの用途に適した筆ペンですので、これ1本で何でも出来るわけではないようです。

それでも、穂先のまとまりが良く書きやすいという点では、これまで買い求めた筆ペンの中でいちばんの掘り出し物でした。

アマゾンの売れ筋ランキング 筆ペンカテゴリで1位を獲得した「くれ竹万年毛筆 卓上(8号)」

あまり目にすることがない筆ペンにも関わらず、アマゾンの筆ペン売れ筋ランキングでは、「くれ竹万年毛筆 8号」が常に上位をキープしているんですよね。

ブログによる口コミは少なく、文具店の商品棚でも目立たない場所に鎮座しているこの商品がなぜ売れ筋なのか、その理由を考えてみたのですが、おそらく定価よりお得な40%以上の値引き価格ゆえにまとめ買いしている人が多いのではないかと。

個人的には、いちど試筆してもらえればその良さが分かる筆記具だと思っているので、何気なく使い始めた人がリピーターとなって、じわじわと支持層を広げているようにも感じます。

詰め替え用の染料インクが2本付属し、別売のスペアーインキにも対応した長く使える筆ペンです。

同タイプの「くれ竹万年毛筆写経用(85号)」はインクの種類が異なり、水に流れにくく、鮮やかな黒を特徴とした顔料インクが付属しています。

ぺんてる筆 つみ穂

ぺんてる筆 つみ穂

「つみ穂」は、ぺんてる筆の中でも穂先のコシが強く、楷書・行書どちらもこなせる万能型の筆ペンです。

商品パッケージには、毛筆になじみのない方にも書きよい穂先というキャッチコピーが記してあり、公式サイトの商品紹介ページにも初心者向け筆ペンであることを説明しています。

ぺんてる筆〈つみ穂〉

筆に不慣れな方でも扱いやすいように、穂先の毛を詰んで先端部のコシを高めにしているのが特徴です。

毛筆ならではのトメ、ハネ、ハライや絶妙なタッチも表現しやすくなっています。

ぺんてる筆|商品紹介|ぺんてる株式会社

その差がよく分からないぺんてる筆3兄弟の違いを比較してみました。

ぺんてる筆「つみ穂」「中字」「すき穂」の違いを比較

(ぺんてる筆 3種類の見た目はほとんど同じ。「つみ穂」の毛束がやや多いか)

入筆した際に感じる穂先の反発力は、つみ穂 ≧ 中字 >> すき穂 の関係となっており、明らかに違いを感じる「すき穂」は芯を感じづらく、粘りのある柔らかな線を書きやすいです。

対極にある「つみ穂」は、管理人が3,4年ほどお世話になった筆ペンで、当初、「中字」では失敗続きだった用筆が「つみ穂」だとやけに書きやすく感じた覚えがあります。

「つみ穂」は、言葉には表しにくい絶妙な書きやすさが備わっており、"穂先の毛を詰む"という謎の加工法が多少は影響しているのかもしれません。

参考 穂先一本一本までこだわり抜く、世界唯一の筆ペン : 表現の道具箱

ぺんてる筆「つみ穂」で書いた年賀状

筆ペン界隈の中でもぺんてる「つみ穂」は穂先が長めで、その扱いに慣れると、年賀状から宛名書きまで何でもござれの汎用的な使い方が出来るようになります。

ぺんてる筆シリーズは、ロングヒット商品の筆頭でもあり、今後も末永くお付き合いできる点で安心感があります。

番外:くれ竹万年毛筆 本毛

最後に動物毛を使用した筆ペンも軽く紹介しておきます。

くれ竹万年毛筆 本

万年毛筆とは、書道用具メーカーの老舗である「呉竹」が製造する本物に近い書き心地を再現した高級志向の筆ペンです。

「くれ竹万年毛筆 べっこう調」は、ナイロン毛より弾力性を抑えたイタチ毛を使用しています。

楷書が書きやすい「剛毛筆」に分類されるイタチ毛は、適度にたわむしなやかさがあり、人造毛による筆ペンよりも素直な運筆ができる利点があります。

  • 毛先がピンピンと跳ねる筆ペンはどうも苦手だ
  • 毛筆歴が長く、筆ペン独特の書き癖を身につけたくない

といった人は、イタチ毛を使用した「万年毛筆」を使用する方法もあります。

冠婚葬祭における受付の記帳でサッと取り出しても違和感を感じないフォーマルな外観が特徴です。

ぺんてる筆が目指す書き味も実は獣毛の中では高級品とされるイタチの毛だったりします。

おわりに 筆ペンで書く際のポイント

小筆で使用する穂先部分を説明した図解

(小筆は根元までおろしてしまうと、穂先のコシを失い非常に書きづらくなる)

基本的に細字用の小筆は、穂先の3分の1ほどおろした状態で使用します。

筆ペンで上手に書くコツは、必要以上にたわませず、筆先のみで書くこと

(軸を垂直にして持つと線が決まりやすい)

同様に筆ペンで書く際も、穂先の先端から3分の1程度の筆先のみで書くようにすると、毛先がばらけず、その筆ペンが持つ本来の書き味を保ちやすいです。

仮に穂先の半分以上を使わないと書けないような文字は、小筆の場合、3号 → 4号 → 5号と、穂の大きさを切り替えて書くようにします。

筆ペンも同じく、書きたい字幅に合わせて【極細】【中字】タイプの筆ペンを用意しておくと、スムーズな運筆によって筆文字が書きやすくなります。