3つ目のステップ「手本と自分の書きぶりを見比べる。」では、自己添削の有用性について説明します。
- はじめに
- 1. 手本をよく見る
- 2. 手本を見ながら真似る
- 3. 手本と自分の書きぶりを見比べる
- 4. 手本なしでもう一度書く
- Q & A式 補足説明
書き終わったら「自己添削」をしよう
いちど手本を書写したら、自分が先生になったつもりで朱筆を入れます。
最初のステップ「手本の見方」でも触れた今の自分より少しだけ上手な批評家に見てもらいましょう。
書きっぱなしにしないための自己添削
「本当はもっとこんな風に書きたかったんだよなぁ」と、手本との違いを見比べながら赤ペンで注釈を入れたり、理想とする線を上書きしていきます。
「次に書くときは同じ間違いをしないように」といった意識付けを行うこの一手間がたいへん重要です。手本との誤差を単なる失敗として済まさず、次に活かす糧として自己添削を行います。
自己添削の例
どのように自分で添削するのか、いくつか具体例を挙げておきます。
方眼罫だと、正しい線との座標ズレを認識しやすいです。
隣に注釈を入れてみたり。
気になる箇所のみ取り上げて、書き直してみたり。
点線を入れて分かりやすくしてみたり。
複数の指摘箇所がある場合は、欄外に注釈をまとめてみたり。
そもそもどんな注釈を入れたら分からないときは、目習いのコツが分かる本が参考になります。
始めのうちは、上書きによる自己添削がやりやすいかもしれません。誤りの線がくっきり表れていると、手本の型を認識しやすいです。
私の場合は、隣に書き直すことが多いです。よく分からないけれどしっくり来ないときは、とにかく書き直します。
手本との誤差に気付ける方法ならどんな書き方でも構いません。
改善する意識が何より大切 同じ場所でとどまらないために
本来、ペン習字の先生が行う添削指導は、その人がもっとも直すべき場所を優先して指摘します。生徒のやる気や実力を加味しつつ指導するためか、改善点を一遍に伝えることはあまりしないようです。
自己添削する際も、同じようにひとつずつ粗を潰していく方が効率が良いように感じます。
ただそうは言っても、あちらを立てればこちらが立たず、直したい箇所は分かっているのに手先は言うことを聞かないものです。この境地に立ったとき、「眼高手低」の「手低」を底上げする機会がやってきます。数稽古が効果をあげるスタートラインがあるとしたら恐らくここからです。
淡々と書き込み続ける練習でも、
- モヤがかかった状態で、手本をひたすら真似る。
- 目先の改善点が分かっている状態で、手本を的確に真似る。
目的意識の違いによって、その練習効果は雲泥の差となります。
数を書き込む練習の前には、悩みのタネを知る工程が必要です。
体の状態を把握しないまま、サプリメントをやみくもに取り入れても効果は薄いのと同じように、特に見直しもせず、書きっぱなしにしてどんどん次に進むやり方は、あまり得策とは言えません。
書き終わった後に見直す一手間を加えることで、基礎となる土台がより強固なものとなり、最終ステップ「手本なしで書く」自己運筆のハードルが下がります。
- 次のページ
- ステップ4 - 手本なしでもう一度書く