「必」や「飛」の筆順はややこしく、そして覚えにくい。何度も記憶したはずなのに肝心なときに思い出せない。今も正しく書けるかどうかちょっとあやしい。
それに比べて、カタカナの「ヒ」は簡単だ。単純すぎる。一画目はヨコ棒を書いて、次にタテ画から右へのカーブ。そう、カタカナの「ヒ」は最初にヨコ棒を書くものと相場が決まっている。
では、その第一画はどちらから書くのだろうか。右から書くのか、それとも左から書くものなのか。
ちょっと調べてみた
「そんな些細なことどうでもいいじゃないか」と聞こえてきそうですが、今回はカタカナの「ヒ」について掘り下げてみます。と思ったら、同じ疑問を持った人が既に質問していたようで、回答が何件かありました。
- カタカナの「ヒ」の書き方について – 教えて!goo
寄せられた回答をまとめると、
- 小学校の教育では左から書く
- 書道では右から書く
- 書きやすい方向でおk
あれあれ。どれがベストアンサーなのでしょうか。
字の原則に従えば、線は「上から下」「左から右」へ書くことになっています。しかし、「ヒ」については書き方が定まっていないようです。筆順サイトで調べてみても、左から書く場合と、右から書く場合があります。
Wikipediaでは「右から左へ」。そして、現在受講している通信講座のテキストでは、「左から右へ」と記述されています。
ややこしくなってきたぞ。もう少し調べてみよう。
「ヒ」の字源は「比」
ひらがなやカタカナは、漢字がベースとなって形成されました。特にカタカナの場合は、漢字の一部をくずしたものが多く、「ヒ」は「比」の右部分が由来となっています。字源から考えると、一画目は右からになりますね。
教科書出版社による筆順
新潟県の小学校教諭の方が、出版社による筆順の違いを調査していました。ヤフーのキャッシュとしてかろうじて残っています。
カタカナの「ヒ」の第1画の筆順についての教科書分析
分析結果を簡単にまとめると、
- 第一画が左から
- 22冊
- 第一画が右から
- 5冊
- 明記されていない
- 31冊
- 未調査
- 19冊
データとしては少し不完全ですが、大体の傾向はつかめます。
- 平成4年までは、出版社によって書く方向が分かれていた。
- 同出版社でも第一画の筆順が移り変わっている。
- 平成17年版においては、第一画が左から右へ統一されている。
現在の小学校教育では、「ヒ」の一画目を左から書くように教えているんですね。
まとめになってないまとめ
結局、正確な答えは見つかりませんでした。『筆順指導の手引き』に記された筆順が絶対ではないように、正しい答えはないのかもしれません。
ということで、よりキレイな字として見せるには次のような書きかたが望ましいです。
「ヒ」の一画目はこう書く
- 硬筆
- 左から右へ
- 書道
- 右から左へ
硬筆では学校教育に倣って左から。書道では淀みなく筆を運ぶために右から。
やや強引なまとめ方となってしまいました。
コメント
『筆順指導の手引き』などにも記載されていると思われますが、「許容の範囲」というのがあります。
小学校の教諭免許の取得の場合に国語の単位も必要だと思われますが、小・中の場合は国語の内容に書写が含まれます。ですから、その学習の折に、学ばないといけないと思われますが・・・。
「許容の範囲」というように当時の文部省で決められているのでは、方向として、どちらでもいいことになっております。
その他、木という文字の縦画の最後ははねてもよいととかあります。
筆順は間違って使用しても罰則がありませんが、よりスムーズな学習の助けになりますので、学習するのは大切だと思いますが、歴史的に見て、たくさんの筆順を持つ文字も多いので、それにこだわりすぎず、筆記用具の正しい持ち方や姿勢などの事のほうに力を注いだほうが、より多くの学習効果があると思います。
楽に鉛筆が持てる子どもは学習が苦になりません。
最近、指先の力がなくて、細かい作業の不得意な子どもが多く、筆順どころではなくなってきたようです。
>>若楓さん
補足説明ありがとうございます。
筆順を学ぶ際の基準に「許容の範囲」という言葉を使われてしまうとなかなか困ってしまいますね。
>「許容の範囲」というように当時の文部省で決められているのでは、方向として、どちらでもいいことになっております。
○「許容の範囲」があるなら、それを文科省は教科書で、明確に「許容の範囲」を示すべきです。現場が混乱します。
こういう事にやはり我々日本人や特に教育現場の方々は 拘らざるを得ないんですよね〜。
本当にこの細やかさが日本人の美質なのか?ある時はマイナス面なのか?ここも…カタカナ「ヒ」の書き順も文科省が指示してくれないと我々は論争を繰り返す?
ありがとうございます。勉強になりました。
これまで疑いなく左から右だったんですが、最近購入した美文字の本を見ると筆跡が明らかに右から左でしたので、疑問に思いこちらの記事にたどり着きました。
なるほど硬筆と毛筆の違いということで納得しました。
小学生の頃、書道教室(主に毛筆)に通っていたので、「書」の書き順を硬筆とは違う順で覚えていたからです。
思い返すと、私のレベルで習う書道(毛筆)の文字はほぼ「漢字」と「ひらがな」で、カタカナはほとんど書いた記憶がありません。だから「ヒ」を左から右で覚えていたんですね。
今後はこの記事と他の方のコメントを参考に、(許容の範囲とのことなので)自分が合理的と思える書き順で書いていこうと思います(現在の感触では右から左かな)。
重ねてありがとうございました。
今TV観ててびっくりしたけど、ヒって普通、右から左に払う感じで書くと思うけどね。左から上げるって書くとき違和感てか、普通払うでしょ!
英語のeのよに書けって事かな?書き順て何か変に変わってきてるね、まぁその人その人、何を書いてるのか解ればいいと思うけど、20、30年前から見るとかなり変な書き順になってるの多いね今!
今TV観ててびっくりしたけど、ヒって普通、右から左に払う感じで書くと思うけどね。左から上げるって書くとき違和感てか、普通払うでしょ!
各種フォント体を調べてみたが、起筆の形からすると右から左が大勢を占めてる。
個人的には左から右に書く方のが毛筆や硬筆を問わず形を整え易い。
まとめで、硬筆は左から右、毛筆は右から左としてますが、TouTubeで確認したところ書道家の方々でも左から右へ書いてる人のが多いように思えます。(Youtuber書道家で右から左に書いてるのは、東宮たくみ氏だけでした)
困ったら中国の能書家たちの筆跡を見ればいいのよ
日本人同士で話し合っても無駄
決まっていないことに驚いた。
他にも決まっていない文字ってあるの?
ありがとうございました♪ええとにゃんことにゃんことにゃんこさんは?
カタカナの匕だけでなく、化、能、陛など、これらの匕の書き方も気になり調べているところでした。昭和33年の文部省が出した『筆順指導の手びき』や中国の『康熙字典』、『五體字類』など、色々調べているところです。我々が普段目にするフォントも、楷書体と教科書体に分かれていたり、筆字で起筆から割り出せるものもあれば、デジタル文字で分からないもの、それはもう様々で、頭が痛くなります。また、当用漢字から常用漢字への変遷で、その中では統一されていても(なべぶた亠、まだれ广の点は横棒に接触させるが「言」は付けないなど)、それに漏れたものは、手つかずのまま放置されているようです。結論から言うと、どなたかがおっしゃっているように、「どちらでも良い」のですが、性格というのは怖いもので、どちらでも良いと分かった上で、でも、どれが始めなのか、という本物志向的なところが邪魔をし、困ったものです。話は変わりますが、糸へんの下部の小の筆順はお分かりでしょうか。糸か糹か。左が教科書体で右が楷書体らしいです。昔の人間は楷書体で、左から順に右へと習いましたが、今の学生は教科書体の中→左→右の順に習っているようです。この筆順に関しては、自分はこう書く、といった自分の決まりを作る他ないと思っています。因みに、私は匕の書き方は字によりバラバラと認識しました。化、花は右から、カタカナのヒ、比、能、陛、鹿はどれも左からです。これは癖によるものです。また、上に挙がっている教科書会社によるデータ、とても参考になりました。まだまだこの疑問、他の漢字に飛び火して今後も続きそうです。ついでですが、今、文科省に問い合わせをしている事が有ります。文科省の手引がある以上、国としては何を基準に一定のルールを決めているのか。その大元となっているものは何か。しかし、まだ返事がありません。