私が日ペンのボールペン習字講座を受講したのは、2012年のことでした。
その後、数回ほど教材を改訂していたようで、掲載情報に誤りがないように2度目の受講を開始しました。
これまで調査した結果をまとめておきます。
※2018年1月時点の情報です
「ひらがな」から始まり「年賀状」で終わる教材
(この講座で習った、暑中見舞いの文面を鳩居堂のはがきに書いてみました)
この講座で使用するテキストは、書き込み式の練習帳になっており、次のような内容が学べます。
- ひらがな・カタカナ・数字
- 楷書 – 基本点画の練習
- 楷書 – 字形の整え方
- 楷書 – 美しい字形のポイント
- 行書 – 覚えやすい行書の形・かなの連綿
- 実用 – 冠婚葬祭で使うことば
- 実用 – 手紙・はがきで使うことば
もっともよく使う「ひらがな」から始まり、楷書の基本原則 → 字形の整え方 → 行書・連綿の書き方 → よく使う文書──と段階を踏みながらペン習字の基礎を踏み固め、
「年賀状」や「暑中見舞い」といった書状を首尾良く書く練習スケジュールが予め組まれています。
市販のペン字教本を使用した独学にありがちな、
「自分にとって必要な練習範囲が分からず、最後のページまで続かなかった」
といった落とし穴にハマらないテキストの構成になっていました。
楷書の書き方が分かるテキストは3冊
ひらがな、カタカナ、楷書の書き方については、実際のペン運びを確認できる付属DVDと合わせて練習できます。
行書の書き方が分かるテキストは2冊
楷書編となる課題を6回提出した後は「行書」を練習するステップに入ります。
初めてペン習字を習う人にとっての行書体は、すごく敷居が高いイメージがあるようで、私も最初は戸惑いました。
このテキストでは、覚えやすい「かんたんな行書」が出てきます。
あまり気負わず、「やや丸みを帯びた字を書く」くらいの軽い気持ちで取り組めば乗り切れると思います。
手紙・書状の作成に役立つテキストは3冊
このテキストで学べる実用書式は、
- 年賀状・暑中見舞いの裏書き
- 出欠返答の書き方
- 婚礼の表書き
- 封筒の表書き(長形4号)
- はがきの表書き
実生活で書く機会が多い書式は、だいたい網羅しています。
実寸サイズで手本が掲載されていますので、コピーして手元に残しておくと、いざというときに慌てず、手本の布置を参考にしながら書状を作成できます。
別冊付録には、筆ペンの基本的な用筆法やのし袋の実寸手本が載っています。
筆ペンを扱えるようになると冠婚葬祭の書き物もへっちゃらです。
復習用のトレーニングブックは2冊
さらに練習したい人のためのトレーニングブックもあります。
数稽古によって手本の型を手に覚え込ませる意気込みがある人は、市販の漢字練習帳(84字タイプ)を1冊購入しておくと、さらなる上達が見込めます。
新しく改訂された3つのポイント
- 1. 先生のペン運びを収録したDVDの追加
- 練習を始める前に“動画”を見て美文字の運筆リズムを掴めるようになりました。
- 2. 硬筆字典が新しくなった
- 文字サイズが大きくなり、テキストに載っていない字も練習しやすくなりました。
- 3. テキストのボリュームが1冊あたり10ページ増加
- これまで手薄だった「文章の手本」ページが増え、より実用的な練習ができるようになりました。
個人的には、DVD教材の追加により、以前と比べて効率よく練習できるようになったのがいちばんの改善点かなと感じました。
1. DVD教材で先生が書くときのリズム感が分かるようになった
(テキスト1?3巻[基本編]で習う文字をカバーしたDVD)
このDVDには、日ペンの先生が模範となる書き方を実演する解説動画が収録されています。
はじめに「美しい字を書くための鉄板ポイント」を紹介した後、
- ひらがな 48文字
- カタカナ 48文字
- 漢字の基本点画(トメ・ハネ・ハライなど)
について、テキストの内容に沿って分かりやすく解説。
解説動画を何度も繰り返し視聴することで、これまで通信教育生にとってブラックボックスだった美文字の運筆リズムが分かるようになりました。
また、美しい字の書き方を見て学ぶイメージトレーニング用の教材としても活用できます。
実際に手を動かして書く「手習い」も大事なんですけど、手本となる字形を脳裏に焼き付ける「目習い」でも字が上手くなるって知っていましたか?
家事や育児のスキマ時間に書いて練習するコトもままならない時は、先生が書く様子をながら見して目習いするだけでも、美文字の上達に効果があります。
(受講生専用サイトでスマホ・パソコンからも視聴できます)
1人称(本人)視点で先生のペン運びを疑似体験できるので、見ていて没入感があるんですよね。
右下に完成形の文字が表示されていますので、書き出す位置、止める位置を予測しながら視聴すると、先生の運筆・リズム感を自分のモノにできる仕組みになっています。
2.『硬筆字典』の使い勝手が良くなった
(テキストに載っていない字も練習できる)
副教材の字典は、『硬筆書写ハンドブック』(1,700円)から『硬筆新字典』(3,780円)に変わり、使いやすさがアップしました。
(文字のサイズが大きくなりました)
たとえば「広」の字を引いてみると、正しい筆順のほか、楷書・行書・草書の書き方が分かる内容になっています。
3. 実生活に役立つ手本の量・種類が増えた
他にも、細かな改善点としてテキスト1冊あたりのボリュームが10ページほど増加し、言葉や文章の手本ページが増えました。
「お疲れ様です」「お手数おかけします」「ありがとうございます」といった、実生活でよく使うフレーズをスマホのカメラアプリで記録しておけば、いざという時の手書きシーンでこの手本が役に立つはずです。
この講座に付属する特典・おまけ
油性ボールペンに適したソフト下敷き
教材に同梱している「デスクボールペン」は、油性インク特有の”書き出しのカスレ”がやや気になりました。
このペンで書く必要はないため、きれいな線が書ける「サラサ」「ハイテックC」を使った方が気持ちよく練習できるかと思います。
ただ、付属していたソフト下敷きはかなり使える性能でした。
この下敷きで書いてみたところ、
- ペン先が紙に吸い付くような筆記感で自然と運筆がゆっくりになる。
- ペン先がわずかに沈み込むようなクッション感で筆致が安定する。
特に油性ボールペンと相性がいい弾力性を感じました。
楷書・行書による住所氏名のお手本
住所氏名の直筆手本は、講座の修了後も活用する機会がなにかと多い便利グッズです。
(氏名住所を一部伏せています)
見本となる名前をタテ書き・ヨコ書きで書いてもらえるので、
- 祝儀袋に名前を美しく書きたいときに
- 公的な書類にキレイに署名したいときに
参考用の手本としても役立ちます。
講習会に無料で参加できる券
練習の要点がどうしても分からずつまずいたときは、定期的に開催している日ペン講習会(スクーリング)に参加すると打開できる可能性が高いです。
この講座には、参加費(8,100円相当)が無料になる特典が付属していますので、地元で開催される日程に合わせて清書作品を見てもらえれば、モヤモヤした悩みもきっと解決しますよ。
【まとめ】料金は据え置きでコスパが良くなった
(説明イラストは6代目美子ちゃんに変わりました)
全体的に通信教育生の学習事情に配慮したプラスの改善になっています。
特に「ひらがな」「カタカナ」「楷書の基本」といった硬筆の基礎を学ぶ項目が重点的に強化されており、初めてペン習字を習う人でも挫折しにくい教材へと改善が進んでいるように感じました。
これだけボリュームがマシマシになった講座内容にもかかわらず、受講費用は当時(2012年)と変わらず、29,800円。分割払いなら、お月謝感覚で受講できます。
教室に通う環境とほぼ変わらない練習密度を保てる点がこの講座の強みになっていると再認識しました。
特別奨励金で他の講座もお得に受講できます
がくぶんの通信講座を修了した人は、特別奨励金1つきで申し込める講座カタログが毎年1月頃に届きます。
日ペンが監修している通信講座は他にも、「筆ペン」「小筆」が上達する2つの講座があります。
- 速習筆ぺん実用講座
- 賞状書士養成講座
興味がある人は「修了者向けの限定カタログ」を経由して申し込むとお得に受講できます。
公式ページ 日ペンのボールペン習字講座
- 特別奨励金の支給を受けるには、a.受講費を完納している。 b.無料延長期間を含めた受講期限までに全課題を提出している。 これら2つの条件を満たす必要があります [↩]